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日本がブラジルに逆転勝利。後半26分にFW上田綺世が勝ち越しゴールを決める(写真・アフロスポーツ)
日本がブラジルに逆転勝利。後半26分にFW上田綺世が勝ち越しゴールを決める(写真・アフロスポーツ)

「こんな言い方はちょっと変だが日本のプレーに感銘を受けていた」歴史的敗北のブラジル代表は森保ジャパンをどう感じたのか…名将アンチェロッティは「負けを簡単には受け入れられない」

「技術的に優れていて、非常によく組織されたチームだと思った。こんな言い方をするのはちょっと変だけど、僕は日本のプレーに感銘を受けていたくらいだ」
 同じ思いをエンリケも抱いていた。
「日本は闘志があふれてスピード感もある、本当によく訓練されたチームだった。常に走り続け、チームのために献身的にプレーし、スコアを離されても絶対に集中力を切らさない質の高い選手たちが戦術的に上手く配置されていた。後半はさらに手強いチームへと変貌を遂げて、最終的に僕たちは負けてしまった」
 アンチェロッティ監督はブルーノら選手個々を責めなかった。代わりに後半に入って不測の事態が続き、26分には左コーナーキックをゴール中央で上田に頭で決められて逆転され、その後はFWリシャルリソン(28、トッテナム・ホットスパー)を投入するも敗れた90分を「教訓」の二文字に置き換えながらこう振り返った。
「センターバックの選手のミスでチームは明らかにコントロールを失った。メンタル面でチーム全体が調子を落としたのは、この試合における最大のミスだった。こういったミスは今やるほうが、W杯本番でやるよりははるかにいい。ただ、負けというものは簡単には受け入れられない。良い教訓を得たというか、大きな学びを得たと言いたいが、同時に非常に残念であり、不満に感じている」
 その上で自軍の選手たちのミスを誘発した森保ジャパンの印象を問われると、敬意を込めながらこんな言葉を残している。
「非常に強いチームという印象を受けた。特に後半に入って前線から仕掛けてきたプレスの前に、私たちはビルドアップのところで非常に困難さを感じてしまった。ハーフタイムには引き続きゲームをコントロールするように指示した。ボールを保持しながらリスクをあまり冒さず、ボールロストをなるべく減らして、その上で素早いトランジションを繰り返すように指示したが、すべてが上手くいかなかった」
 W杯で史上最多の5度の優勝を誇るブラジルだが、最後に美酒に酔ったのは2002年の日韓共催大会までさかのぼらないといけない。
来夏の北中米大会出場をかけた南米予選は序盤から大苦戦を強いられ、指揮官も交代した末に5位で通過。最新のFIFAランキングでは6位に後退しているサッカー王国が喫したのは、過去の対戦成績が11勝2分け、35得点に対して5失点と攻守両面で圧倒してきた日本への初黒星だけではなかった。
 ブラジル代表チームの長い歴史の中でアジア勢に敗れたのは、韓国に0-1で初黒星を喫した1999年3月以来26年ぶりで、21世紀に入ってからは初めて。さらにハーフタイムの時点で2点差をつけていた試合で逆転負けを喫したのは、公式戦に国際親善試合を加えたすべての試合で今回が初めての屈辱だった。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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