
箱根駅伝予選会の集団走はもう古い? トップ通過を果たした中央学大が今回から“定番”の集団走をやめた深い理由とは?
箱根駅伝予選会が18日、陸上自衛隊立川駐屯地~国営昭和記念公園のコースで行われ、42校が参加して各校上位10人の合計タイムで競い、上位10校が出場権を獲得した。中央学院大がトップ通過、法大、明大,専大などの有力校が落選した。
異例の戦略でトップ通過
今年の箱根駅伝予選会もドラマがあった。17.4㎞通過順位は1位が順大、2位が山梨学大、3位が中央学大。以下、日大、東農大、大東大、立大、法大、神奈川大と続く。ここまでが予選通過ラインだ。そして11位が専大、12位が日体大、13位が明大だった。
最終結果は以下の通り。
1位 中央学大 10時間32分23秒
2位 順大 10時間32分35秒
3位 山梨学大 10時間32分44秒
4位 日大 10時間32分57秒
5位 東海大 10時間34分07秒
6位 東農大 10時間34分59秒
7位 神奈川大 10時間36分04秒
8位 大東大 10時間36分12秒
9位 日体大 10時間36分14秒
10位 立大 10時間36分56秒
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11位 法大 10時間37分13秒
12位 明大 10時間38分54秒
13位 専大 10時間39分06秒
17.4㎞通過時で1位の順大と1分06秒差あった中央学大が逆転してトップ通過。日体大は10㎞通過時19位から後半に浮上して、最後に滑り込んだ。7位通過の神奈川大も10㎞通過時は15位だった。立大はエース馬場賢人(4年)の欠場が響いたが、ギリギリで踏みとどまった形だ。
一方で15㎞通過時に9位と10位だった法大と専大は圏外へ弾きだされた。なお立大と明大の差はわずか17秒。法大は11年ぶりに本戦出場を逃して、選手たちは泣き崩れた。坪田智夫駅伝監督は「逆転されていると思っていなかった。気持ちの整理がつかない」と話すのが精一杯だった。
また前回2位通過した専大・長谷川淳監督も、「最後の3㎞はフリーにして上げていくような指示を出していたんですけど、集団走が早
めに崩れてしまったので、そこが想定外でしたね」とうなだれた。
今回の予選会では特筆すべきことがあった。それは25回目の本戦出場を決めた中央学大が「集団走」を行わなかったことだ。集団走は遅れる選手を出さないためにチームでまとまって好記録を目指す手法。この戦術を本格的に導入したのが中央学大・川崎勇二監督だった。
第69回大会の予選会(93年)からである。以前、川崎監督はこんな話をしてくれた。
「予選会は10人の合計タイムなので、数人が良くても10人目がダメだったらアウトなんです。当時は20㎞レースで、ひとり平均が63分そこそこで通ったんですよ。となると5㎞を15分30秒~16分00秒ペースで押していけばいい。個人では走れなくても集団なら、そのペースで走れる選手はたくさんいる。集団の力というのは非常に大きいと感じてい
たんです」
この年はうまく機能しなかったが、第70回大会の予選会では、「ペースをコントロールできる人間をリーダーにして、イーブンペースで走る。その戦略がハマりました」と箱根駅伝の初出場をつかんでいる。