順大の 四釜峻佑(左)と中央大の阿部陽樹(写真右)が5区にエントリーされれば箱根駅伝“山の神”の有力候補(写真:SportsPressJP/アフロ)
順大の 四釜峻佑(左)と中央大の阿部陽樹(写真右)が5区にエントリーされれば箱根駅伝“山の神”の有力候補(写真:SportsPressJP/アフロ)

今日箱根駅伝の区間エントリー発表…4代目「山の神」は降臨するのか?

年始を彩る風物詩「箱根駅伝」の区間エントリーが今日29日に発表される。注目は箱根の厳しい勾配を駆け抜ける5区の“山上り”だ。過去に「山の神」と言われたランナーが誕生してレースを盛り上げた。各大学は、レースの行方を左右する5区に一体誰を配置し、そして“4代目”「山の神」は2023年の1月2日に降臨するのだろうか?

本命だった吉田響(東海大2年)が登録を外れて混沌模様

 箱根駅伝は“山”があるから面白い。
 突如として、ヒーローが現れる区間が山上りの5区だ。小田原中継所の標高は約40m。国道1号線の最高地点となる標高874mまで一気に駆け上がり、芦ノ湖の往路ゴールを目指す。
 5区が最長区間(23.2㎞)だった時代に順大・今井正人(現・トヨタ自動車九州)、東洋大・柏原竜二、青学大・神野大地(現・セルソース)が「山の神」と呼ばれるほど異次元の走りを見せた。17年大会から小田原中継所が従来の位置に戻り、距離が2.4㎞短縮。05年大会までとほぼ同様の区間になった。
 現在の区間記録は東洋大・宮下隼人(現・コニカミノルタ)が2年時(20年)に樹立した1時間10分25秒だ。00~05年の旧コース(函嶺洞門を通行していたため現在より20mほど短い)は順大・今井が1時間9分12秒で走破している。
 上り坂は厚底シューズの恩恵をさほど受けないとはいえ、現在の区間記録は今井のタイムと比べて、50秒ほど遅いことになる。
 最長区間だった時代の区間記録は青学大・神野が打ち立てた1時間16分15秒。「現在の距離に換算すれば1時間8分45秒と言われています。単純計算では僕の方が1分40秒ほど速いことになりますね。1時間9分前後で走る選手が出てくると、『4代目』と言われるんじゃないでしょうか」と神野は発言している。

 “4代目”「山の神」に最も近いと思われていたのが、前回、1時間10分44秒(区間歴代4位)の区間2位で走った吉田響(東海大2年)だ。今季は全日本大学駅伝と箱根駅伝の両予選会でインパクトを残しており、本人も「区間新記録」を強く意識していた。しかし、登録メンバーから外れたことで、区間賞争いは混沌としている。
 吉田不在となると、前回の実績では先頭をひた走り、1時間10分46秒(区間歴代6位)をマークした若林宏樹(青学大2年)がナンバー1になる。ただし、今季の若林はピリッとしていない。青学大は若林だけでなく、脇田幸太朗(4年)と黒田朝日(1年)も5区の候補に挙がる。原晋監督は「誰が出場しても走力は十分にある」と自信を口にしているが、裏を返せば、絶対的な選手がいないということになる。神の領域に近づくのは難しいだろう。

 悲願の3冠を目指す駒大も前回1時間11分19秒の区間4位と好走した金子伊吹(3年)を含めて4人が準備しているという。11月19日の激坂最速王決定戦・登りの部に全日本大学駅伝4区で区間賞を獲得した山川拓馬(1年)がエントリーしていた。レースを走ることはなかったが、上りの適性があるはず。ルーキーの5区登場もあるかもしれない。

 箱根5区候補が参戦する激坂最速王決定戦・登りの部は城西大がワン・ツーを飾り、脚光を浴びている。山本唯翔(3年)が前半から抜け出すと、残り3㎞で斎藤将也(1年)が逆転。斎藤は高低差981mの13.5㎞を51分50秒で走破した。この記録は歴代でも神野が昨年樹立した大会記録(51分02秒)に次ぐ好タイムだ。

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