
「周囲の声が闘争心に火をつけた」ロバーツ監督が明かすスランプだった大谷翔平が驚愕3本塁打で復活した理由…「良い所と悪い所を探したい」の飽くなき向上心
そしてこう続けた。
「あのレベルの期待というのは普通は達成不可能なんだ。多くの選手は押し潰されてしまう。でもショウヘイは違う。ポストシーズンで苦しんでいたにもかかわらず、精神的にも自信的にも全く崩れなかった。それは本当に驚くべきことだ。私たちはいずれ彼が打ってくれるとわかっていた。しかも、それを自ら投げている試合でやってのけるなんて、最高の形だ」
さらに指揮官はメディアや専門家から厳しい意見が飛び交っていたことが、大谷の反骨心に火をつけたとの見解を示した。
「彼が最近打撃で苦しんでいるとか、ピッチングの日は打てないとかの声があった。でもそれが逆に彼の闘志に火をつけたと思う。マウンドに立った瞬間から集中力と意欲が違った。初回を完璧に抑えた時点で、今夜は、特別な夜になると感じたんだ」
投手・大谷は、立ち上がりに先頭のブライス・チュラングを四球で歩かせたが、そこからジャクソン・チョウリオ、クルスチャン・イエリッチ、コントレラスを三者連続三振に仕留めた。その時点でロバーツ監督は何かが起きる予感がしていたという。
では当の大谷自身はどう考えていたのだろう。
同じく米ドジャーブルーが伝えた試合後の公式会見の中で、大谷は復活の理由についてこう明かしている。
「今日は(打者として投手の球の)見え方が良かった。練習でやっていたことをしっかりと(実行したおかげで)昨日の試合を含めて今日試合に入った時に打てそうな感じで打席に立ててはいた」
大谷は「マウンドでのパフォーマンスを重要視して試合に入った」と言うが、2日前の屋外のフリー打撃で何かをつかんでいたのだ。
今季はレギュラーシーズンでは打率.282(リーグ13位)、55本塁打(同2位)、102打点(同6位)で、OPSはリーグトップの1.014の数字を残している。
だが、シーズンを通じて「凄くいい感覚はなかった」と言う。
その中で「必ずしもいいアプローチだけがヒットになるわけではない」という割り切りを持ち、いかにチーム貢献ができるかだけを考えてきた。四球の出塁もそのひとつ。そしてこの日の3本塁打を「全体的に出来過ぎだった」と振り返りながらも重要な一言を付け加えた。
「これからまた見返して良い所、悪い所を探したい」
大谷はリアル二刀流として過去最高のパフォーマンスだったか?の質問に「YES」とクビを縦には、振らなかった。
「トータルで見たらそうなのかなとは思うが、7回に2人のランナーを残して(マウンドから)帰っている。中継ぎの人たちがしっかりと抑えてくれたのが、試合の運び的にはかなり大きく、自分としても救われている部分ではある。あそこを抑えきれれば完璧だったと思う」
7回無死一、二塁で、2番手のアレックス・ベシアにバトンを渡すことになったことを悔やんだ。大谷の復活理由は、まさにこの飽くなき向上心にあるに違いない。
まだ相手はブルージェイズやマリナーズが決まっていないが、注目のワールドシリーズは24日(日本時間25日)に敵地からスタートする。