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中日の根尾が阪神の佐藤、大山と対戦。5試合目にして初失点を喫した(資料写真・黒田史夫)
中日の根尾が阪神の佐藤、大山と対戦。5試合目にして初失点を喫した(資料写真・黒田史夫)

中日・根尾の阪神主力テストは”サトテル”斬りもプロ初失点…どこまで通用するのか?

 

中日の根尾昂投手(22)が25日、甲子園で行われた阪神戦の0―9で迎えた6回に登板、4番の佐藤輝明は一塁ゴロに抑えたが、一死一、二塁から同期入団の小幡竜平(21)にタイムリーを打たれ、5試合目にしてプロ初失点を喫した。試合後、立浪和義監督は、あえて虎のクリーンナップにぶつけて“テスト“したことを明かしたが、ここまでの5試合で最も出来が悪かった。根尾はどこまで通用するのか。現状の実力を検証してみた。なおゲームは阪神が10―0で大勝した。

立浪監督「あえてクリーンアップのところで出した」

「投手・根尾」がアナウンスされ、リリーフカーに乗った背番号「7」が甲子園にその姿を現すと大きな拍手と歓声が起きた。

 「9-0」の阪神ワンサイドゲームで迎えた6回。意図が理解できない福谷続投の立浪采配にイラついていたドラファンも大勝に“お腹一杯”だった虎党も歓喜した。これが大阪桐蔭時代に“聖地”甲子園で輝いた根尾の持つスター性なのだろう。  いきなり迎えたのが阪神4番の佐藤である。

 代表取材したスポーツ各紙の報道によると、立浪監督は「あえてクリーンアップのところで出した。どれくらい通用するかを見たかった」と、起用意図を説明したという。

 初球に内角へ投じた149キロのストレートが外れたが、2球目も続けて内角を攻めた。それを引っ張った佐藤の打球は強烈だったがファースト正面のゴロ。

 だが、2回にレフトフェンス直撃のタイムリー二塁打を放っている好調の大山にはボールが先行した。カウント2-1からスライダ―をファウルにされ、続けて外角高めに投じた、見送ればおそらくボールの150キロのストレートをライト前へ弾き返された。続く糸原には制球が定まらない。ストレートが浮き3-0から2つストライクを取り、非凡さを見せたが、結局、初の四球となり、続くドラフト同期の小幡にもストレートがシュート回転して浮き、ボールが3つ先行。ストライクを取りにいった149キロの甘いストレートをレフト前へ打ち返された。

 5試合目にして初失点。それでも続く梅野はストレートで押し込んでキャッチャーファウルフライ。打撃のいい投手の伊藤も見逃しの三振に終わらせ、“被害”は最小限に食い止めた。

 中日でコーチを務めたこともある評論家の高代延博氏は「この日の環境が影響したのか、ここまでの中で一番悪かった」という見方をした。

 2017、2018年と連覇した選抜で2年連続胴上げ投手となり、2018年には春夏連覇した思い出の“聖地“。5月のファーム戦で“凱旋登板”を済ませていたが、やはり1軍となると感情の高ぶりもあったのかもしれない。加えて途中中断が入ったほどの雨でマウンドもぬかるんでいた。まだ環境の変化の影響を受けずに常に一定のクオリティを保つまでの調整力はないのだろう。

「ストレートの球威がなく自慢のコントロールも乱れた。立浪監督は、あえて主力にぶつけて、経験を積ませると同時に、大差の敗戦処理ではなく、勝ちパターンで使えるかどうかを試したんだと思うが、現状で言えば、まだ厳しい。そのポジションで通用するだけの力はない。いわゆるストレートの質は棒球。身長が低いのでボールに角度もなく、加えて、この日投げたスライダーも特殊球と呼べるようなキレや制球力がないので打者が恐れるものがない」

 やはり根尾の投手転向は無謀だったのか。

 

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