「佐々木麟太郎に賭けたソフトバンクは最悪の評価」元ヤクルト編成部長がドラフト成否を独自採点…「最高は阪神。90点以上は中日、ロッテ、オリックス、広島の4球団」
プロ野球のドラフト会議が23日、都内のホテルで行われ支配下73人育成43人の計116人が指名された。注目の創価大の大型内野手、立石正広は、広島、日ハム、阪神の3球団が競合して阪神が交渉権を獲得、最速158キロの健大高崎の石垣元気にはロッテ、オリックスが競合してロッテが交渉権を引き当てた。また来年6月まで交渉のできないスタンフォード大の佐々木麟太郎にも横浜DeNA、ソフトバンクが競合してソフトバンクが交渉権を獲得した。ドラフトの成否の答えは5年後、10年後に出るものだが、元ヤクルト編成部長で、阪神でスカウトを務め、ヤクルト、阪神、楽天ではコーチとして故・野村克也氏を支えた松井優典氏に独自視点で各球団のドラフトの成否を採点してもらった。

「立石は森下翔太のレベルにある」
やはり今年もドラマがあった。会場を沸かせたサプライズが、スタンフォード大に留学中の佐々木に横浜DeNAが1位入札したシーン。続けてソフトバンクも佐々木を指名してマリナーズでプレーしたこともあるソフトバンクの城島健司CBOが当たりクジを引き当てた。
では今回のドラフトで最も成功した球団と疑問の残った球団はどこなのか。松井氏が95点の最高点をつけたのは阪神だった。
「森下翔太のレベルにある立石を指名できた点で最高のドラフト。立石をどこで使うかの問題は残るが、立石が三塁で佐藤輝明を外野に回してもいいし、彼はレフトも守れる。中野拓夢のショート再コンバートがあるかもしれない。使えば20本塁打、打率.270は打つ。とにかく盤石の野手陣ができた。2位の日大の谷端将伍も守れる。才木浩人のオフの動向が気になるが、将来性を買ってストレートの質がいい神村学園の早瀬朔、即戦力で今季イースタンの投手3冠のオイシックスの能登嵩都も押さえた。抜け目がない」
そして松井氏は、90点以上の成功グループとして、オリックス、中日、ロッテ、広島の4球団をあげた。
「オリックスは球団のビジョンをしっかりと示した。7人中、高校生が5人。しかも大型投手が4人。石垣はクジで外したが、完成度が高く、力強さにも欠けることのない延岡学園の藤川敦也を外れ1位で指名し、2位が大阪桐蔭の森陽樹で3位が健大高崎の左腕の佐藤龍月。山下舜平大や山﨑颯一郎ら大型の高卒投手を育成してきた球団のビジョンに沿ったいいドラフトになったと思う」
対照的に1位から3位まで、レベルの高い即戦力投手の指名に成功したのが中日だ。
「中日は青学大の中西聖輝を1本釣りでき、2位で東北福祉大の櫻井頼之介、3位で最速157キロで短いイニングならすぐ使える独立リーグの篠崎国忠を獲得できた。先発の大野雄大、涌井秀章らが高年齢化している中で、チームのウィークポイントを埋めたことは評価できる」
石垣を引き当てたロッテも、高校生を4人を指名したが、大学、社会人の即戦力投手を3人指名してバランスを取った。
「もしかすると1年目から使えるかもしれない石垣に、甲子園をわかせて野手転向の可能性さえ持つ横浜の奥村頼人、天性の飛ばす力を持つ大型内野手の昌平の櫻井ユウヤら有力な高校生を4人指名してサブロー新監督に中長期でチームを任せるという意思を示した一方で即戦力も抑えたバランス型。明大の毛利海大を2位で指名できたのは大きいし、5位の日本通運の155キロ右腕の冨士隼斗も社会人で急成長している」
広島は「全体的なチーム戦力のレベルアップに成功したドラフト」と評価した。
「立石は外したが、層を厚くしなければならない外野に仙台大のスイッチヒッターの平川蓮を日ハムとの競合で獲得できた。広島にしては、珍しく7人中、大学生が6人。課題の右投手も埋めることできている」
あえて、成功グループを順位付けをすると、中日、ロッテ、オリックス、広島の順。そして及第点の85点の平均グループとしたのが、順に巨人、西武、横浜DeNAの3球団。

