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阪神に1位指名されて会見に臨む創価大の立石正広
阪神に1位指名されて会見に臨む創価大の立石正広

阪神の藤川監督が引き当てた創価大の立石正広は「どこを守るんだ?問題」をバルセロナ五輪出場の母からの金言「上には上がいる。練習するしかない」を胸に乗り越える!

 結婚する前の苗村姓だった郁代さんはバレーボール選手として活躍し、兵庫・氷上高卒業後の1988年に日本リーグのイトーヨーカドーに入部。1992年に女子日本代表に選出され、同年7月のバルセロナ五輪に出場したキャリアを持つ。
 もっとも郁代さんの華麗なキャリアを、立石が初めて知ったのは「小学校の半ばくらいでした」という。すでにバルセロナ五輪から20年近くが経っていた。
「母は謙虚というか、自分の話を本当にしなかったので」
 こう振り返る立石は、ライバルとの争いを制して代表チームの一員に名を連ね、最高峰の舞台となる五輪を戦った濃密な経験が、郁代さんの「上には上が――」に込められていると知った。この瞬間から母の言葉は金言と化した。
 今春の東京新大学リーグ。キャプテンに指名された立石は出場12試合で打率4割、5本塁打、16打点、3盗塁をマーク。本塁打を含めた長打を広角に放ち、三塁からコンバートされた二塁も遜色なく守り、身長180cm・体重87kgのサイズながら50mを6秒0で走るスピードと3拍子そろったプレーを披露。アマチュアナンバーワンのスラッガーとして、今ドラフトの目玉選手の一人となった。
 会見でルーキーイヤーの数字的な目標を問われた立石は苦笑しながら明言を避けた。もっともこれは対外的なもので、今春を含めて、自分の中ではしっかりと具体的な目標を定めている。
「勝負だと思った今年の春は打率4割、ホームラン3本以上、打点10以上と立てて実際に達成できたので。自分の中で目標を立てるのはいいんですけど、周囲に言っちゃうと勝手にプレッシャーを感じて、息苦しくなっちゃうかなと思ったので。まずは一軍で試合に出ることと、ちょっと控え目に言いました」
 プロの世界に挑む上での目標ももちろん胸中に秘めている。
ひとつは藤川監督から期待された、3番・森下翔太(25)、4番・佐藤輝明(26)、5番・大山悠輔(30)のクリーンナップへ割って入るいくこと。特に同じ右打者で、横浜DeNAとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ2回戦でサヨナラ2ランを放った森下の勝負強さへ、立石は憧憬の念を抱く。三塁には2冠王の佐藤輝明、二塁には不動の2番打者の中野拓夢がいて立石が出場機会を得るには、外野へのコンバート、あるいは、藤川監督が、サトテルを三塁から外野へコンバートさせるくらいの結果を残さねばならない。自身の目の前にそびえ立つ壁は高く険しい。だからこそ、郁代さんの金言が輝きを増してくる。
「厳しいと思っていますけど、野球をするという意味では、楽しさが増えるのかなと。今の阪神の状況を見ても(守備位置に)こだわっていたら試合には出られない。もちろん内野手としてどんどん上達していくつもりですけど、その中で必死に練習して、与えられたチャンスをものにしたいと思っています」

 

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