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日本シリーズ第1戦の決勝打は4番の佐藤輝明。カウント3-0からのチェンジアップだった
日本シリーズ第1戦の決勝打は4番の佐藤輝明。カウント3-0からのチェンジアップだった

「なぜ有原はカウント3-0からサトテルと勝負したのか?」疑問が残る逆転負けしたソフトバンクの采配と対照的に冴えた藤川監督の日本S用タクトと事前研究の跡

 日本シリーズが25日、福岡のみずほPayPayドームで開幕。阪神がソフトバンクに2-1で逆転勝利した。藤川球児監督(45)が守備力、機動力を重視して「6番・レフト」で先発起用した島田海吏(29)や石井大智(28)の回跨ぎ起用などシリーズ用の采配がズバリ的中。一方のソフトバンクは、先発の有原航平(33)が6回一死三塁でカウント3-0から佐藤輝明(26)と勝負して勝ち越しタイムリーを浴びるなど、その采配に疑問が残った。

 近本の盗塁から始まった逆転劇

 有原を攻めあぐんでいた阪神の流れを変えたのは近本の足だった。1点を追う6回。センター前ヒットで出塁した近本は続く中野の初球に盗塁を仕掛けた。海野の送球がそれたが、たとえストライク送球であってもタイミングはセーフ。完全に盗んでいた。有原のクイックタイムは1.22秒から1.25秒。決して遅くない。
 現役時代にタイトル獲得経験のある評論家の一人はこう指摘した。
「有原のクセを事前の研究で盗んでいたのではないか。島田の盗塁もそうだった」
 5回にも内野安打で出塁した島田が盗塁に成功していた。カウント1-2からの4球目。チェンジアップに狙いを定めたようなスタートで、それはワンバウンドとなり、海野の送球までのタイムをロスさせた。
 話を6回に戻すと、近本が盗塁を決め、無死二塁から中野が三塁前へ絶妙のバント。サードの野村はファウルになると判断して捕球せずに見送ったが、打球はラインの手前で止まった。オールセーフの一、三塁となり、結果的に勝ち越しの走者を出塁させることになった。
 前出の評論家は「野村の判断ミス。ホームのグラウンドで打球がどう動くかは熟知しているはず。確実に打者走者をアウトにしておかねばならなかった」と、記録に残らないミスのひとつだと指摘した。
 続く森下は完全につまらされたが、ソフトバンクは前進守備を選択しておらず、しかも打球コースが良かった。ショートの川瀬は一塁へ送球するしかなかった。その間に同点。さらに一死三塁で、佐藤はカウント3-0からストライクゾーンにきたチェンジアップを打って出て、右中間へ決勝のタイムリーツーベースを放った。
 前出の評論家は、ソフトバンクベンチの指示の不徹底さに疑問を投げかけた。
「勝負してボールになったという3-0のカウントではなかった。一塁は空いていて、次は、クライマックスシリーズから調子があがらない大山。なぜ佐藤と勝負したのかわからない」
 ソフトバンクは、村上の立ち上がりに、周東の足を絡めて、復帰した近藤のタイムリーで先制した。だが、シーズン中にも有原がつかまることが多かった“魔の6回”を乗り越えることができなかった。
 有原は5回まで、フォーク、チェンジアップの2球種の落ちる球を見事にコントロールして、阪神打線を封じ込んでいたが、機動力でかきまわされ、サトテルとの対戦の小さなスキにつけこまれた。

 

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