もう大谷は全打席敬遠?「彼が重要な場面で敬遠されるのには理由がある」ブルージェイズ投手陣が敬遠策の本音を吐露…敵将は「地球上最高の選手。他の誰かに打たれる方がまだマシ」と弱音
ドジャースがワールドシリーズ第3戦(27日・ドジャースタジアム)でブルージェイズとの史上2番目の最長時間試合となる延長18回の死闘をフレディ・フリーマン(36)のサヨナラ本塁打で6-5で制した。真のヒーローは、7回の同点アーチを含む2本塁打&2二塁打に4打席連続敬遠を含む5四球、3打点で9度出塁した大谷翔平(31)だ。2つの申告敬遠を与えたエリック・ラウアー(30)は「彼が重要な場面で敬遠されるのには理由がある」と心境を吐露。ジョン・シュナイダー監督(45)は今後も敬遠策を続ける方針を示唆した。
シュナイダー監督「敬遠の方針貫く?そうだ」
6時間39分に及ぶ死闘にケリをつけたのはフリーマンの一発だった。
中1日で緊急登板の準備をしていた山本由伸はブルペンでスタッフと輪を作って抱き合いながらジャンプ。大谷は両手をグルグルと回しながらベンチを飛び出してきた。
歴史的な死闘の真のヒーローは大谷だった。2本塁打&2二塁打に4打席連続敬遠に、最後も敬遠気味の四球でなんと9打席すべてに出塁。ワールドシリーズでの1試合4長打は、119年ぶりの快挙で、同一ポストシーズンで3度目のマルチ本塁打は史上初。そして、4敬遠、5四球、9出塁などは、ポストシーズン記録となった。
米「ドジャーブルー」が伝えたフィールド上での中継局のフラッシュインタビューで大谷は「一番大事なのは、チームが勝ったことです。今日の自分の結果も、あくまでこの試合の流れの中でのもの。何よりも大切なのは、気持ちを切り替えて次の試合に臨むことです」と、興奮気味に話した。
対するブルージェイズベンチは大谷に脱帽だった。
同サイトによると、9回から徹底した敬遠策を選択したシュナイダー監督は、その経緯をこう明かした。
7回にセランソニー・ドミンゲスが逆方向の左中間に放り込まれた同点アーチがきっかけになったという。
「あのとき(7回)は“勝負を避けながら投げる”という方針だった。セランソニー(ドミンゲス)を信頼していたが、ピッチャーにとって“ボールを投げるつもりでストライクゾーンを外す”ことは実は難しい。狙いどころがずれてしまった。彼(大谷)は素晴らしい選手。あの後は完全にバットを持たせない選択(敬遠)をした」
そしてこう続けた。
「彼は言うまでもなく“地球上最高の選手”のひとりだ。我々としてはリアルタイムで対応するしかなかった。彼を歩かせれば、その後にムーキー(ベッツ)とフリーマンが続くわけだから簡単な判断ではない。彼らに非常に高い精度で投球を実行しなければならない。彼は本当に偉大な選手なので、“他の誰かに打たれるほうがまだマシだ”と思う場面もある。でもその“他の誰か”がムーキーやフリーマンなら、やっぱり痛い(笑)。今日は大谷が素晴らしいゲームをした」
結果的に4度あった敬遠策は、すべて成功したが、最後にフリーマンに一撃を食らったのは、どこかでその敬遠のひずみが生みだした悲劇だったのかもしれない。
ESPNによると、13回、15回と2度、申告敬遠をすることになったラウアーは、その心境をこう明かした。
「彼があのような重要な場面で敬遠されるのには理由がある。(今日大谷が見せたのは)史上屈指のパフォーマンスだった」
ラウアーは今季9勝2敗、防御率3.18の先発投手。この日は12回一死から投入されて16回まで投げ切り、ドジャース打線を無得点に封じたが、大谷の敬遠策には同意せざるを得なかった。

