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中1日での登板志願して準備していた山本由伸を佐々木郎希が労う(写真・AP/アフロ)
中1日での登板志願して準備していた山本由伸を佐々木郎希が労う(写真・AP/アフロ)

「誇らしい。ヤマの覚悟こそチームの姿勢の象徴だ」完投勝利から中1日で登板準備をしていた山本由伸の“男気”にサヨナラヒーローのフリーマン、カーショーらが感動

 ドジャースが27日(日本時間28日)、本拠地でのブルージェイズとのワールドシリーズ第3戦を延長18回の死闘の末、フレディ・フリーマン(36)のサヨナラ本塁打で制した。ファンを驚かせたのは25日(日本時間26日)の第2戦で105球完投勝利をしていた山本由伸(27)が志願して延長18回にブルペンで登板準備を始めた姿だ。ブルペンを使い果たした中での志願登板。結局、最悪の事態は回避できたが、その男気にフリーマン、クレイトン・カーショー(37)らチームメイトが感動の言葉を寄せた。

 「9イニングを投げた翌々日に投げるなんて正気じゃない」

 伝説的な18回の死闘の裏にもう一つの感動の物語があった。デーブ・ロバーツ監督は延長15回から10人目のウィル・クラインを投入。ついにブルペンに誰も人がいなくなった。クラインは、15、16、17、18回とロングリリーフをしたが、不測の事態に備えて、山本が105球完投勝利から中1日で登板準備することになったのだ。
 延長17回に山本がベンチ裏からブルペンに向かう際、8回途中から9回を無失点リリーフしていた佐々木朗希が「マジ?」と3回聞き直すほどの衝撃を与えた。
 「SPOTVNOW」が伝えた映像によると、ロバーツ監督から登板を打診された山本は、「もう誰もいなかったので行くしかないと思いましたし、体調的にも、え、今日はいけると思ったんで“準備できる”と言いました。監督は絶対にいいとは言わないと思いましたが、準備をしながら話し合おうとなりました」という。
 登板を志願したのだ。
 18回から山本がユニホーム姿でブルペンで肩を作り始めると球場が騒然となった。
 だが、フリーマンの一発が飛び出して“最悪の事態”は回避された。ブルペンでは山本がスタッフと輪を作って抱き合って歓喜のジャンプ。グランドでは大谷翔平が両手をあげて駆け寄り、佐々木朗希らとまた肩を抱き合って跳びはねた。
 米「ドジャーブルー」が伝えた映像によると、山本と抱擁したロバーツ監督は「ヤマモトも次の回に備えて準備していた。“チャンピオンになるためなら何でもやる”というチーム全体の姿勢を象徴していた。もし登板したら?必要なだけ投げてもらうつもりだった。彼が最後の切り札だった」との内幕を明かした。
 山本も「こういう時のこういう試合で投げれるようにこれまで何年も練習してきた」と胸を張った。
 その山本の男気はチームメイトに感動を与えた。
 ヒーローのフリーマンは、山本の行動について熱く語った。
「試合後に抱き合った。彼があの状況で“投げる準備ができていた”ということ自体がチームの象徴だ。今夜は全員が力を出し切った。あれほどの舞台で“自分がいきます”と言えるのは、本当に凄いことだ。彼がブルペンで投げているのを見たとき、『頼む、もう決めよう。彼に投げさせたくない』と思った。彼の覚悟がチームの姿勢を物語っている」
 フリーマンのサヨナラアーチには、山本の登板をなんとか回避させたいとの願いがこめられていた。

 

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