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巨人から1位指名を受けた中央大の西舘勇陽は阿部新監督のお面をつけたチームメイトから祝福を受ける(写真・東京スポーツ/アフロ)
巨人から1位指名を受けた中央大の西舘勇陽は阿部新監督のお面をつけたチームメイトから祝福を受ける(写真・東京スポーツ/アフロ)

「阪神の戦略を真似たのでは?」超大物OBが賛否を呼んだ巨人の“高校生本指名無し”の異例ドラフトを分析

 抽選が連発したドラマ多きプロ野球のドラフト会議。巨人は阿部慎之助新監督(44)がドラフト1位でクイック投法で最速155キロの右腕の西舘勇陽(中央大)を日ハムと競合の末に引き当てたが、2位から5位までの支配下指名は全員が社会人という偏ったドラフトとなり賛否の声が飛び交う事態となった。だが、巨人の大物OBである広岡達朗氏は意外にも支持を表明。「社会人4人を指名した巨人と、対照的に高校生のショートを2人指名した阪神のドラフトの今後が興味深い」と“ドラフトGT戦”を総括した。

 大学1人、社会人4人の即戦力特化型ドラフト

 巨人のドラフトは大学・社会人の即戦力に特化した異例の構成になった。1位は阿部監督が母校の後輩を日ハムの新庄監督が選んだ後の封筒を手にして引き当てた。一夜明けた27日に、自ら指名挨拶に出向き背番号17を渡すことを伝えた。
 最速155キロの異色のクイック投法。先発も抑えもできるが、今季セットアッパー不足に悩んだ阿部新監督は、西舘―大勢の勝利方程式を想定しているに違いない。
 だが、2位以下は、全員社会人の4人を指名して、高校生の指名はゼロ。しかも4人はいずれも大学を経由しており、将来性を見込んだ指名ではない。育成では4人高校生指名しているが、来年の補強に的を絞った偏ったドラフトにSNS上では賛否が飛び交い、元ヤクルトの編成部長である松井優典氏が「あまりにも切羽詰まったドラフト。数年後にひずみがくる」と厳しい評価を口にするなど、批判的な意見も少なくはなかった。
 だが、意外にも巨人の大物OBの広岡氏は巨人の戦略を支持した。
「西舘は、顔つきやインタビューの応答を見ているとクレバーな印象を受ける。クイックを使えるのだから、プロで超えるべき壁はひとつクリアされたことになるのだろう。確かに大学が1人、社会人が4人とは珍しいドラフトだな。私が思うに近本、中野、木浪ら社会人出身の野手で成功した阪神のパターンを見習ったのではないか。やはり社会人出身の選手は、野球への理解度の高さだけでなく、対峙の仕方を知っている。自分で考えることができる。偶然かもしれないが、今回の巨人の4人は全員が大学経由の社会人。近本、中野、木浪もそう。確かに数年後を考えると、偏ったドラフトになったのかもしれない。巨人が高校生を育てることが下手だということを示したとも言えるが、育成ドラフトでは高校生を指名しているし、チャレンジとしては悪くはないと思う。阿部は何が何でも来年優勝しなければならないのだから、来年の即戦力の補強に集中したのは理解できる」
 2位は、Honda鈴鹿の1m86の大型左腕、森田駿哉。富山商時代から甲子園で注目を浴び、法大では肘の手術もあって結果を残せなかったが、社会人ではトヨタ自動車の補強選手として都市対抗の優勝に貢献した。最速154キロでスライダーが鋭く完投能力がある。26歳で最後のドラフトチャンスだった。
 3位の日立製作所の佐々木俊輔外野手は、スピードを生かすタイプの左打者で東洋大出身。4位のNTT西日本の泉口 友汰遊撃手は、守備に定評があり、シュアな打撃ができる左打者。大阪桐蔭では中日根尾、ロッテ藤原の一つ上で青学大から社会人に進んだ。
 5位の又木鉄平は最速149キロの力投型の先発左腕。東京情報大から日本生命へ進み1年目から試合出場機会を得ている。広岡氏が指摘するように阪神の近本が関学大―大阪ガス、中野が東北福祉大―三菱自動車岡崎、木浪も亜大―ホンダと大学―社会人を経て阪神に入団している。

 

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