「(ショウヘイに)やってやりましたよ」大谷翔平から逆転2ランのゲレーロJr.が「なぜ打てたか?」の理由を激白…確信した1球のファウルと「延長18回で敗れうつむいていたナインへの檄」
そして、ゲレーロJr.はなぜ大谷から本塁打を打てたかのもうひとつの秘密をもこう明かした。前夜は、6時間39分の延長18回のワールドシリーズの歴史に刻まれる激闘の末、フレディ・フリーマンの一発でサヨナラ負けを喫した。
「僕が最後にロッカールームに入ったんですが、みんなうつむいていた」という。
ゲレーロJr.は、ナインに向かって「おい。みんなまだ終わってないぞ。まだ終わりじゃない」と檄を飛ばした。
「相手が4勝したわけじゃない。4勝しないとワールドシリーズは勝てないんだ」
するとナインに笑顔が戻り、ゲレーロJr.は気分を盛り上げるためにロッカー内に音楽をかけた。それでも疲労困憊でホテルに戻ると「赤ん坊みたいにぐっすり寝た」という。
「もちろん負けは悔しかったですが、休まなきゃいけない。今日に向けてしっかり寝ました」
チームリーダーの自覚を持って大谷に立ち向かったのだ。
さらに先発した5年前のサイヤング賞投手、シェーン・ビーバーが、試合前にナインにかけたある言葉がゲレーロJr.の心に響いた。
「ビーバーはいつも試合前にこう言うんです。『君たちを信じている』と。そう言われれば、100%の力と魂で答えなければならない。彼は最高の選手の一人なんです」
7月のデッドライントレードで優勝請負人としてガーディアンズから移籍してきたビーバーは5回1/3を投げ、2回にキケ・ヘルナンデスの犠飛で失った1点だけにドジャース打線を封じ込んだ。
前夜、2本塁打&2二塁打3打点で、4敬遠を含む5四球で9打席すべてに出塁した大谷も、第1打席こそ四球で出塁したが、第2打席、第3打席と連続三振に仕留められていた。
そしてもう一人、ゲレーロJr.を大谷撃破に駆り立てた人物がいる。36歳のベテラン、リードオフマンのジョージ・スプリンガーだ。前日のゲームで打席の途中で脇腹を痛めて欠場した。そのスプリンガーが、この日の試合前にロッカーで「すまない」とナインに謝罪している。その時、ゲレーロJr.はナインを代表してこう声をかけたという。
「これが野球なんだから謝らないでいい。誰も怪我したくてする選手なんていない」
ゲレーロJr.はスプリンガーの思いもそのバットに乗せていたのだ。
ゲレーロJr.は7回には申告敬遠され、代わったブレイク・トライネンにボー・ビシェット、アディソン・バーガーが襲いかかり、9回にもライト前ヒットを放った。主砲を完全に目覚めさせてしまったのはドジャースにとってはマイナス材料かもしれない。
“ビッグパピ”から祝福の葉巻と、TシャツをプレゼントされたゲレーロJr.は胸を張ってこう言った。
「僕たちは常に1試合ずつ集中して戦うだけです。このチームを信じている。このチームには特別なものを持っています」
今日29日(日本時間30日)の第5戦の先発はドジャースがブレイク・スネル、ブルージェイズがトレイ・イェサベージという第1戦と同じマッチアップだ。

