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球界重鎮は阪神の日本シリーズ完敗の理由のひとつに藤川監督の経験不足を指摘した(写真:Imagn/ロイター/アフロ)
球界重鎮は阪神の日本シリーズ完敗の理由のひとつに藤川監督の経験不足を指摘した(写真:Imagn/ロイター/アフロ)

なぜ“セ最強”阪神はソフトバンクに1勝4敗で完敗したのか…「藤川監督と小久保監督の経験値の差と育成組織の規模の違い」球界重鎮が忖度抜きで理由を分析

 球界重鎮が「洞察力の差」と指摘したのはシリーズでの先発投手の起用法だ。
 ソフトバンクは本来であれば第1戦に先発させたいはずの今季の最優秀防御率投手のモイネロが、中4日で20日の日ハムとのCSファイナル第6戦に先発していたため、有原が第1戦に回り、モイネロは中5日となる第2戦も回避して上沢が先発。甲子園での第3戦に回した。
 また第5戦は本来であれば今季13勝5敗、防御率1.66の大関の順番だったが、CSファイナルの日ハム戦で3回持たずに4失点するなど、シーズン後半から調子を落としていたことを問題視し、シーズンの実績にとらわれず、中4日で有原を抜擢した。
 対する阪神は登板間隔が十二分に空いていたにもかかわらず、横浜DeNAとのCSファイナルでの村上、才木の順番ではなく、第2戦に8月9日のヤクルト戦以来、1軍登板のないデュプランティエを先発させた。下肢のコンディション不良で長期離脱していたデュプランティエは、奪三振マシンと化していた剛腕とはまるで別人。調整不足は明らかで2回持たずに大量7失点してゲームをぶっ壊した。
 広岡氏は特にこの第2戦の阪神のデュプランティエの抜擢を「なぜ才木でなかったのか。その意図がまったく見えない」と指摘した。
 さらに小久保監督は第4戦で5回に得点圏に走者が進むと、無失点の大津に代えて、迷うことなく代打近藤を起用しタイムリー。第5戦は7回二死一、二塁で、結果的に見逃しの三振に終わったが首位打者の牧原に代打近藤を送るなど攻めの采配が目立った。
 対する藤川監督は、第3戦で守備で判断ミスをした豊田を懲罰交代させたりしたが、第5戦で無死一、二塁の好機に、二塁走者の大竹に思い切って代走を送り、中野のバントを楽にさせるなどの細やかな采配は見られなかった。
 そしてもうひとつの問題が両軍の戦力層の差だ。
「投手陣に関しては、阪神がやや上回っているくらいで、何も見劣りはしなかった。だが問題は野手の選手層。ソフトバンクは、3軍、4軍まであり育成選手をじっくりと育てあげて、次から次へと有力な選手を拾いあげてくるシステムができている。レギュラーが怪我でいなくなっても代役に遜色はない。阪神は1番から5番までは固定されていたが、6番以降が薄いし代打も含めてそこの部分での選手層の差が出た。大山が大スランプに陥ったが、代役もいなかった。王(会長)がしっかりと組織全体を見ているのだろう。コーチの1軍から4軍などの配備や彼らの指導の厳しさについてもセパの中で抜きん出ている」

 

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