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天心はファンに土下座して敗戦を謝罪した(写真・山口裕朗)
天心はファンに土下座して敗戦を謝罪した(写真・山口裕朗)

「オレ嫌われてんのかな」異例の大ブーイングを浴びた那須川天心は何が狂って井上拓真に“完敗”したのか…“天心パパ”は「倒しにいっていない」と悔し涙を浮かべて激怒の説教

「無敗にこだわって生きてきたわけではない。負けを受け止める器があると言っていたが、気持ち的には上がんない。でもこれも人生。みんなの前で恥をさらすのもかっこいい。一生懸命生きているヤツにしかそういうことはできない。また明日からしっかりと生きていきますよ。明日ラジオの生放送がありますから」
 ポジティブに語った。
 リング上では、拓真に「しっかり強くなって、もう1回、挑戦するところにいきますんで、もう一度よろしくお願いします」と再戦を申し入れた。
 もちろん引退するつもりなどない。
「やめないですよ。やめるとか考えないです。それは一切ない。ダサいじゃないですか。負けて辞めますは。やり続けます。やり返します、必ず」
 リベンジを誓った。
「ボクシングには、本当に長い歴史があって、こういう思いにさせれる。素晴らしく頼もしくもあり、悔しさもあり色んなことを経験させてくれる競技だな。舐めたことは思っていない。一からしっかり学んできた。より好きになった。まだまだこれからだな。きょうで8戦目ですからね。やりますよ」
 会見場の外には、幼い頃から、二人三脚で空手、キックと不敗街道を歩んできた父の弘幸さんが目を真っ赤にして待っていた。
 天心をつかまえ、涙を浮かべ、厳しい口調で「倒しにいっていない。あれじゃ勝てない」と説教した。
「天心が大勝負に強いのは倒しにいっているからなんです。今日は倒しにいっていなかった。スタートは良かったが、3ラウンドからブロックで拓真選手のパンチを受け始めた。あれをやるとリズムやペースが向こうにいく。同時に体が浮くので、ジャブもきかず、左が上から出るんで、ああやって簡単に外されちゃうんですよ。あれじゃ勝てない。キックボクシングのスタイルになんか何も戻っていなかった。ようするに気持ちの弱さが出たんです。ちやほやされ調子に乗っていたんだと思う」
 父だからこそあえて厳しい言葉を投げかけた。
「初めての負けはいい薬になったと思う。離れていく人もいるだろうし環境も変わるだろう。でもやるべきことは見えたんじゃないですか」
 東京ドームでの「THE MATCH」で武尊に勝ち、もうキックに敵がいなくなった天心が、ボクシングに転向してきた理由は、こういう超えられない壁に挑むためでなかったか。
 無敗のスーパーヒーローもいいけれど、挫折から立ち上がる天心のストーリーも面白い。それほどボクシングとは人々を引き付け、人生かけるべき魔力を持つ競技なのだ。天心流のやり方で、チャンピオンへの道をまぶしいくらいに輝く物語にすればいい。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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