「本当の怪物。ジャブ精度は井上尚弥クラス。フィジカルは高校時代の村田諒太以上」全日本フルマークV“スーパー高校生”藤井勇我を日本連盟の強化トップが絶賛…本人は年明けプロ入りを宣言
第3ラウンドは、一転、ガードを固めてあえて祝に打たせ、隙をみてフック、アッパー、ボディーとワンパンチのカウンターのみを当てていくというプロ並みのリスクを取らない戦術に切り替えた。
「1、2(ラウンド)を取っているんで3(ラウンド)はしのげば勝ち。あとは見せようと思ってワンパンチで」というのが狙い。
高校のルールはヘッドギアをつけて1ラウンがド2分。全日本選手権ではヘッドギアがなく1ラウンド3分で戸惑いがあってもおかしくないはずが、こういうマネジメントもできる。「3分の方が得意。スタイル的にも相手を消耗させるタイプなんで」。すべてが高校生離れしていた。
名門、興国高に入学以来、負けなしの49連勝。出場大会すべてに優勝して6冠。高1でアジア・ジュニア選手権、高2でU19ワールド・ボクシング選手権で金メダルを獲得している。
土日は大阪から横浜の大橋ジムへ通う生活を続けてきた。
「それぐらい意味のある練習。もう毎週とか毎日行きたいぐらいです」
井上とフィジカルトレーニングを一緒に行ったこともある。まだ自分では、不可能なレベルのトレーニングを見せられると同時に「当たり前のことを当たり前にやる」その姿勢に感銘を受けた。
「ジャブがいいね」と、藤木の武器でもあるジャブを褒められたことが忘れられない。
その井上尚弥は、SNSに「スーパー高校生 藤木勇我 高校生で全日本選手権優勝 やっぱり強い!!要チェックだ」と投稿した。
連盟の強化の統括責任者である元ロンドン五輪フライ級代表の須佐氏は「本当に怪物」と舌を巻いた。
「あれだけ長身の相手に正確に的確に精密なジャブを打ち込めるのは、プロでは井上尚弥、アマでは山口瑠(駒沢大)くらいしかいない。ジャブは、井上尚弥クラスです。高校生なのに体幹も出来上がっている。フィジカルは高校時代の村田諒太よりも上。パワー、テクニック、スピードなど、能力指数を六角形の指数で表すとすれば、そのすべてがトップレベルです」
井上尚弥、そしてロンドン五輪ミドル級金メダリスト、元WBA世界ミドル級スーパー王者のである村田と比較して須佐氏は藤木を絶賛した。
藤木は小1で元プロボクサーだった父直樹さんの影響でボクシングを始めた。当時は“倒し屋”の元4階級制覇王者、ローマン・ゴンザレス(ニカラグア)に憧れた。元WBC世界バンタム級王者の山中慎介、元3階級制覇王者の長谷川穂積が活躍している時代で、長谷川のラストマッチは直接会場に足を運んで観戦した。井上に惹かれたのは、スーパーバンタム級に挑んだ頃だという。

