「酷い採点だ」「どこ見てた?」「B、Cプランがなかった」帝拳“秘密兵器”高見亨介が1-2判定で敗れたWBA&WBO統一戦の判定に物議…本当に狂った採点だったのか…改めて検証してみた
プロボクシングのWBA世界ライトフライ級王者の高見亨介(23、帝拳)とWBO世界同級王者のレネ・サンティアゴ(33、プエルトリコ)の2団体統一戦は議論を呼ぶ1-2判定で高見が敗れた。試合後、高見陣営のオーギー・サンチェストレーナー(48)は「酷い判定だ」と不満を爆発させ、本田明彦会長(78)も「117-111の採点は考えられない」と疑問を投げかけた。高見は本当に負けていたのか。

著名なトレーナーや元チャンプから筆者の元にひっきりなしに連絡が入った。話題は、高見が「116-112」、「111―117」、「113―115」の1-2のスプリット判定で敗れたサンティエゴ戦の判定についてだ。
試合後、アマチュア時代にあのプロでは無敗の元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)に最後の黒星をつけたボクサーとして知られるオーギー・トレーナーが「酷い採点だ。負けにつけた2人のジャッジは間違っている」と批判したことに端を発する。
特に117-111の大差で高見の負けにつけたジャッジへの批判の声は強く、WBA世界バンタム級タイトルマッチで堤聖也(角海老宝石)との激闘の末、敗れたノニト・ドネア(フィリピン)の試合でも一人のジャッジが117―111の大差をつけていて、チーフトレーナーを務めるレイチェル夫人も「高見の試合でもそういう大差をつけたジャッジがいた。ありえないジャッジだ」と怒りを口にしていた。
試合直後には、本田会長は、オフィシャルや関係者が集まる席に近寄って両手を広げて「?」のポーズをとり“抗議”した。
「勝っているよ。考えられない。117-111なんて採点はあり得ない。下がっているだけで、パンチは当たっていない。WBOのプエルトリコは、こういうボクシングを評価するんだからおかしい。ボディは評価されていないし、サンティアゴが非常にポイントの取り方が上手かったのは事実だが、揺れるラウンドを相手につけたとしても116-112だよ」
サンティアゴは足を使う“逃げのボクシング”に徹した。それを高見が追いかける展開。序盤から要所にボディショットを放って、その足を止めにいったが、結果的にジャッジには評価されなかった。
最終ラウンドのゴングを聞いた瞬間に両手を突き上げて勝利を確信していた高見は、判定結果を聞いた瞬間に「ビックリした」という。
「自分がやっている感覚、ポイントを取っている感覚では、勝ったかなあと思った」
それでも結果は変わらない。
「率直に悔しい。少しびっくりもしつつ、しょうがないなあって。自分の中で一応納得しました。倒しきらないとダメというのが一番」
一方でその採点を支持する声も少なくない。
試合中、筆者の席の近くにいた元世界王者は「2ポイントから4ポイント、サンティアゴの勝ち」との採点をつけていた。
そしてこうも付け加えた。
「揺れるラウンドが結構あった。そこを高見につけているとすれば、どんな採点結果が出てもおかしくないですよ。ホームですしね」
だが、ホームタウンデシジョンはなかった。
ある著名トレーナーはこうも言った。
「サンティアゴがリターンのパンチ、特に左を確実にヒットさせていて、ラウンドの中でパンチをまとめてジャッジにアピールする時間を作るなどポイントの取り方が上手かった。高見は終盤まで対応しきれていなかった。10回以降のボクシングに早く切り替えるべきだった。B、Cプランがなかったと言われたも仕方がない。逆に116-112で高見の勝ちにした判定に驚いた」

