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  • 「酷い採点だ」「どこ見てた?」「B、Cプランがなかった」帝拳“秘密兵器”高見亨介が1-2判定で敗れたWBA&WBO統一戦の判定に物議…本当に狂った採点だったのか…改めて検証してみた
統一王者となったサンティアゴは判定結果を聞いた途端に異常に喜び、一方の高見亨介は憮然(写真・山口裕朗)
統一王者となったサンティアゴは判定結果を聞いた途端に異常に喜び、一方の高見亨介は憮然(写真・山口裕朗)

「酷い採点だ」「どこ見てた?」「B、Cプランがなかった」帝拳“秘密兵器”高見亨介が1-2判定で敗れたWBA&WBO統一戦の判定に物議…本当に狂った採点だったのか…改めて検証してみた

 改めて採点表を検証してみた。
 3者が共に同じ採点をつけたのは合計6ラウンド。
 高見を支持したのが10、11ラウンド。サンティアゴを支持したのが3、4、5、8ラウンド。つまり半分の計6ラウンドの採点には問題がない。揺れたのは残り6ラウンド。117-111とつけたポーランドのレシェック・ヤンコウィアク氏が高見を支持したのは10、11、12ラウンドの3ラウンドだけだったので論外としてサンティアゴを115-113で支持したカナダのリチャード・ブロアン氏と、116―112で高見につけたタイのピニット・プラヤドサブ氏の採点を比較してみる。
 両者の判定が割れたのは1、7、12の3ラウンド。このどれかをカナダ人が高見につけていればドロー。2つを高見につけていれば高見の勝ちだったわけだ。
 詳細に映像を見直してみた。
 1ラウンドは、意外にもジワジワとプレスをかけたのはサンティアゴで互いに様子を見ていたが、1分過ぎに高見の左に合わせたサンティアゴの右のクロスが浅くヒットした。そこから早くも高見が追う展開となり、右のボディストレートを放ち、終盤にもう一発右のボディストレートをヒットした。ロープ際の接近戦でサンティアゴがボディへ軽いパンチを連打、さらに終了間際に大きな右を振ったが、これも浅かった。
 いずれも浅かったが、サンティアゴの右のクロス、右のフック、そして接近戦でのボディへの手数を取るか、前へ出た高見の攻勢と確実にヒットしたボディショットをとるか。難しいラウンドだった。
 試合後の会見でオーギートレーナーはこう訴えていた。
「アマチュアボクシングではパンチの数も重要だ。でも、これはプロの試合だ。重要なのはどれだけ強く、はっきり当てたパンチか。その点で、亨介はしっかりと試合を支配していた。強くて、クリーンで、説得力のあるパンチを見せていたんだ」
 その採点基準は正しい。だが、前に出て放つ強打より、下がって正確に当てるテクニシャンを優位に見る「ラスベガス採点」というものがあり、特にWBOのジャッジには、その傾向が顕著に見られる。1ラウンドから、その潮流が見られたわけだ。
 そして次の焦点が7ラウンドだ。
 高見がジャブで主導。1分過ぎにジャブから右のボディを当てる。1分30秒過ぎにサンディアゴがワンツースリー、左右フックとまとめて、どれも当たっていないが、手数でポイントをアピールする時間を作った。試合を通して、こういうポイントの作り方が上手かった。
 追うような右ストレートも浴びたが、残り1分を切って、高見も負けじと、連打から左のボディショットでポイントをアピールし返した。サンティアゴは足を使って下がる。ゴング終了間際に高見がボディから左と強打で襲いかかった。このラウンドも確かに採点が難しいラウンドだったが、ジャブでのリングジェネラルシップを評価すれば、高見につけていいだろう。

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