時差6時間“サウジの井上尚弥”は100倍怖い?!5月に対戦辞退のピカソをけなさず「逃げたんじゃない。ファイトマネーの問題」とかばってリスペクトするスーパースターの矜持
プロボクシングのスーパーバンタム級の4団体王者の井上尚弥(32、大橋)ら日本の5選手が出場する「The Ring V: Night of the Samurai」(27日)のグランドアライバルが23日、現地リヤドの会場近くにあるグローバルシアターで開催された。地元を含む海外メディアの取材が殺到したのが井上だったが、時差が6時間のサウジを「過ごしやすい」と歓迎。最高のパフォーマンスを出せる環境が整ったことを明かした。また対戦相手のアラン・ピカソ(25、メキシコ)は5月のラスベガスの対戦を辞退した過去があるが、「あれは逃げたんんじゃない。ファイトマネーの問題」と裏事情を明かしてかばった。このリスペクトがパウンド・フォー・パウンド1位復帰を狙うモンスターの矜持だろう。

「意外とサウジは凄しやすい」
「グランドアライバル」とはファイトウィーク2日目に用意された出場選手の顔見せのプロモーション。
レッドカーペットが設定された舞台上で出場全10選手が順番に一人づつフラッシュインタビューを受け、その後、ミックスゾーンのような囲み取材のスペースがあり、そこで日本や海外メディアの個別取材を受ける形となっている。
その舞台となったグローバルシアターは後楽園ホールがすっぽり入るくらいの広い場所で華やかなに彩られていた。造花の桜の木に歓迎され、天井にはいくつもの提灯がぶら下げられ、神社の鳥居を模したゲートから選手が登場すると花火が吹き出す演出。井上が「お金かかっていますよね」というくらいのスペシャルな舞台だった。
サウジの王族と間違うような“正装”の民族衣装で現れたIBF世界スーパーフライ級王座に挑戦する寺地拳四朗(BMB)のインパクトが抜群だったが、海外メディアのインタビューが殺到したのはやはり井上だった。
日本メディアの囲み取材に約9分間応じた後に、地元メディアが中心に6社に連続インタビューを受けた。
サウジアラビアで戦うことをどう思うか」と同じ質問を繰り返されたにもかかわらず「日本より対応が丁寧でしょう」と苦笑いを浮かべながら15分間にわたって取材に応じた。
途中「どんなスコアを出すつもりか」と、スマホで英語に翻訳した意味不明の質問が飛び、井上は「スコア?ボクシング用語とちょっと違うから難しい、答えにくい」と戸惑ったが、いい加減な返答はしなかった。このあたりもボクシングといかに真摯に向き合っているかを示すシーンだった。
井上の第一声は「サウジは意外と過ごしやすい」というものだった。一番の理由は時差。
井上は、これまでラスベガス、ロス、英国グラスゴーと3か所の海外を経験しているが、「時差がきつかった。マイナス6時間は日本人にとってやりやすい。時差を感じない」という。サウジ入りは20日で、1週間の期間で時差対策ができるかの不安があったが、「全然問題がなく、ジムもホテルも綺麗で」と懸念はなくなった。
「ちょっと寒いかな。もっと暑いかなど思ったけれど」
朝晩の気温は10度で日中も15度。気候の変化への不安もなく、ただ、砂漠地方で湿度は低く、「部屋にいるときはお湯をだしておかないと感想する」と工夫している。
体重調整も「射程圏内に入った。余裕です」という。
試合会場となるモハメド・アブドゥー・アリーナは2万人の収容だが今回は、3、4000人の観客に絞るセットとなる。
井上は「会場は大きくない。逆にそれが(気持ちを)狂わすのかと思うところがあった」と懸念していた。

