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中谷潤人がヘルナンデスとフェイスオフ(写真・山口裕朗)
中谷潤人がヘルナンデスとフェイスオフ(写真・山口裕朗)

「あまり構えたりせずに…」サウジ競演3日前に井上尚弥と中谷潤人がリング誌企画で異例の緊急対談…雑談もなくビッグバンが対戦相手の情報もゲットしなかった理由とは?

 ハイライトは来年5月のスーパーファイトがボクシング界に及ぼす影響について聞かれた場面だった。
「この階級に僕と中谷君が一緒の時代に重なること、そして戦いに向けて進んでいることは日本ボクシング界にとってかつてない盛り上がりに進んでいることだと思います」
 井上がその意義を明かすと中谷はこう答えた。
「そういう戦いが進んでいるのは自分にもボクシング界にも影響を与えています。ここで終わらず、これからの未来のボクシングに向けて何か発信できるようなことをその試合を通じてできたら嬉しいと思っています」
 その2人がサウジで競演する。
 井上は「ファンの方は来年5月の試合をイメージ、空想して見ると思うのでその試合の内容で、どっちが強いか、どっちかが勝つか、そういった楽しみもあると思う。そういう見方もしてもらえたらすごく盛り上がる日になる」とコメントしていた。
 一方の中谷は、その比較論を堂々と受けて立った。
「比較されるのは自覚している。そのあたりがボクシングの醍醐味であり、面白いところなんで。さらに期待を膨らまさせるようなファイトをしたい」
「内容と結果で井上―ピカソ戦を上回る?」
 そう聞くと「結果的にそうなればいい。今やるべきことは、対戦相手のヘルナンデスに対応すること。そこを意識してできれば」と返した。
 その2人がこの試合直前のタイミングで対談した。
 2人とって大きな刺激になったはずだが、中谷は「プロモーションとして(対談をすれば)盛り上がるのがわかっている。自分自身は、ヘルナンデスに対して調整している。そこが大事なところ。そこに集中してやっている」と対戦相手に集中していることを強調した。そして「普段通り、いつも通り(井上と対談するからといって)あまり構えたりせずにやっている」とも付け加えた。
 収録の間に雑談を交わすこともなかったのという。
 中谷の対戦相手のヘルナンデスは、井上のかつてのスパーリングパートナーである。井上から何か生の情報を収集しても不思議ではなかった。だが、中谷はその話題を持ち掛けることしなかった。
「それ(ヘルナンデスについて話を聞くこと)は全然ない。リングの上で味わった方が楽しいんで」
 そこに“ビッグバン”のプライドがちらついた。
 そして来年5月の東京ドーム決戦まで続く2人のライバル関係を「自分自身しか味わえない時間。そこはぞんぶん楽しんで方がいい」との俯瞰で捉えた。
「相手のためにやってきたことをまず試す。それが何かは言えない。27日に発揮できるかどうか、自分自身のテスト。どれだけ自分ができるか。相手がどれくらいの耐久力かを勉強したい」
 すでに2人の物語はスタートしている。

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