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井上尚弥はピカソに圧勝もKOはできず(文責・山口裕朗)
井上尚弥はピカソに圧勝もKOはできず(文責・山口裕朗)

「やりましょう!」井上尚弥がSNSを騒がせた「来年5月は中谷戦かフェザー挑戦か」問題に結論…ピカソに圧勝も「倒せず悔しい。体と気持ちが一致せず」KOできなかった理由は?

 ただ筆者のような素人にはわからぬモンスター“凄み”をWBA王者は見ていた。
「ずっとばまって見ていたかった技術があった。芸術的で綺麗なボクシング」
 その芸術性は井上がリングを降りるまで会場を去らなかったサウジのファンにも伝わったのかもしれない。
 前日の計量後の爆弾発言が物議を呼んだ。
「中谷戦か、5階級制覇か。どっちに転ぶかわからない、とここにきて言われている。5月は不透明」
 大橋会長も「(挑戦を)受けるのではなく、挑戦したい気持ち強いのが事実。本人の意思を優先してね。中谷戦も魅力あるし、フェザーで日本人初の5階級制覇も魅力がありますよ」と説明していた。SNSは「フェザー級の挑戦を見たい」「井上は逃げたのか」などと炎上。井上の数分前に会見をした中谷は、「井上選手と戦えないとなったらさみしさはありますけど、目標はぶらざすにやっていきたい」とコメントした。
 だが、その中谷戦かフェザー挑戦かの問題に井上自身があっさり決着をつけた。
「そういった話(フェザー級挑戦)もありましたが、今日お互いが勝ってそりゃもうやりましょうよ、と。(大橋)会長にも(言った)」
 もう中谷戦一択であることを明かした。
「自分としてもやる気持ちは十分にあります。自分から呼びかけてますしね。そういう話がさらっと入ってきたんで、あの場でさらっと話をしてしまったのが、ちょっと“ぼわあ”となってしまってかき乱してしまって申し訳なかった、というのがありますけど。自分としては来年5月にやる気はもちろんあります」
 そもそものきっかけは今年の年間表彰式での井上からの呼びかけだった。中谷はスパーバンタム級の壁にぶつかって判定にもつれこむ苦戦をし、井上もスカッとKO決着とはいかなかったが、共に無傷のまま来年5月を迎えるというミッションはクリアした。
 中谷は井上―ピカソ戦の感想を聞かれて「タイミングをとったり、合わせてくるパンチは鋭いなと感じながら見ていた。ピカソ選手は凄く勇敢に戦っていたという印象は持っている」と答えた。
 ただ井上とのスパーリングパートナーを務めた際に滅多打ちにされ、たった数日でお役目御免となったセバスチャン・ヘルナンデス(メキシコ)を相手にあと1ラウンドを取られていたらドローの大苦戦の判定勝利で、スーパーバンタム級の壁にぶつかった姿をさらけだしてしまった中谷の今日の出来であれば、とてもじゃないが井上には歯が立たないだろう。
 だが中谷はこうも言った。
「12ランドを戦ってタフな選手にこの階級を経験した。キャリアの糧になるこれが本当のリアルだと感じている。どう成長につなげるか。燃えたぎったものがあるので期待してもらえれば」
 2人の来年5月への戦いがサウジから始まっている。
 そして井上は「もちろんフェザー級も考えています。それは5月ではなくて」と、中谷戦の後に5階級制覇への挑戦プランをあたためていることも明かした。
 会場にはリング誌のパウンド・フォー・パウンド1位のヘビー級の3団体統一王者のオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)の姿があった。
 井上はリング上からこう決意表明した。
「ウシクが見にきてくれている。こんなんじゃまだまだ及ばない。もっと1位にふさわしい選手になりたい」
 モンスターは来年5月の東京ドームのもっと先を見つめている。

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