何から何までソックリ?!川崎の“レジェンド”中村憲剛氏の長男・龍剛が「チェンジャー」として日大藤沢の8強進出に貢献…「お父さんからは『最後は自分で試合を決めるマインドを持て』と」
ポジションは父が現役時代に主戦場としたボランチ。身長170cm・体重62kgと体のサイズではやや小柄な龍剛を支えているのは、175cm・66kgの憲剛氏が18年間プレーした川崎、そしてJリーグの歴史に名を刻むレジェンドになった理由そのものとなる。
憲剛氏も前出の引退セレモニーで、こんなメッセージを残している。サッカー界全体へ向けられたものであり、同時に龍剛へのエールにも聞こえてならない。
「体の小ささや身体能力の低さはハンデじゃない。おそらく小中学生、高校生で悩んでいる子は大勢いると思います。でも、そうじゃないと僕のキャリアが言っています」
自身が臨む初めての全国高校選手権の開幕を前にして、チームから背番号を「7」から「14」に変えないかと打診された。成長のスピードを今よりも倍に、という期待が込められた打診。しかし、川崎や日本代表で憲剛氏が象徴とした背番号だけに、全国大会が始まればさらに注目度が増し、プレッシャーに変わりかねない。
「逆に幸せだと思えているので。そんな感じですね」
さまざまな視線を注がれる状況を受け入れ、むしろ喜びとともに「14」を背負った龍剛は、聖和学園戦をベンチで注視しながら自身の記憶を必死にたどった。父と何度も交わしてきたサッカー談義。その中で先発から突如リザーブに変わったときの心得を説かれたときはあったのか。ほどなくして答えは見つかった。
「途中出場だと緊張するところもあると思うんですけど、お父さんからは常に『最後は自分が試合を決定づける。そういうマインドを持ちなさい』と言われていました」
3分台が表示された後半アディショナルタイム。自陣から得意のドリブルを仕掛けてきた聖和学園の選手を、バックスタンド側のタッチライン際で体を張って阻止。相手のスローインに変えて、勝利を決定づけた龍剛が胸を張る。
「初戦の後にお父さんからは『ビルドアップ時の立ち位置は良かったよ』と言ってもらえましたけど、逆に足りなかったのは守備だと思っていました。あの場面では体が勝手に動いたというか、自分が止める、絶対に勝ちたいという思いが表れたのかなと」
都立久留米高校(現・東久留米総合高校)出身の憲剛氏は、全国高校選手権を経験していない。すでに高校時代の父を越えたが、龍剛はさらに先を見つめる。
「次勝てば国立なので。次は自分が点を取りたいし、もっと貪欲にいきたい」
4日の準々決勝では昨夏の高校総体王者・神村学園と対戦する。ここまでの2試合で10ゴールをあげ、失点を許していない優勝候補へ。プレースタイルだけでなく思考経路、顔つきも父とそっくりな龍剛は先発でもゲームチェンジャーでもどちらでもチームの勝利に貢献する自らの姿を思い描きながら、大一番への準備を進めていく。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

