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スタジアムにはらくだに乗った警護が待機
スタジアムにはらくだに乗った警護が待機

カタールW杯は本当に「史上最高」なのか…効き過ぎた冷房、新型コロナ定期検査もマスクも無し、海外客無料のメトロに良好な治安、高騰物価…現地取材で見えてきたもの

 FIFAワールドカップ・カタール大会はベスト4が出そろい、18日(日本時間19日)の決勝まで、あと4試合を残すところとなった。世界が新型コロナ禍に見舞われて以降、初めて規制ゼロで開催されている大規模スポーツイベントは「史上最もコンパクトな大会」とも謳われ、首都ドーハ市内と近郊に位置する8つのスタジアムに約120万人が訪れると見込まれてきた。グループステージを終えた段階で、国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長(52)が「史上最高」と胸を張った、中東で初めて開催されているW杯を取材裏話とともに中間総括する。

 日中はゴーストタウン化

 

 ドーハの日中はゴーストタウンと化す。12月に入って最高気温がようやく30度を下回っているものの、それでも照りつける太陽光線は強烈。日本のように湿気を伴っていないが、ジリジリと肌を焦がすような感覚を避けるために誰も外出しようとしない。
 広場で子どもたちがサッカーボールを追いかけ、歓声を響かせるのは決まって夕方以降。筆者が滞在した民泊の近くにある巨大スーパーマーケットも、閑散としている日中が夜間になると一変。午前2時の閉店が迫っても、幼い子ども連れの家族でごった返している。
 屋外が酷暑の分だけ、屋内は冷房が効いている。効き過ぎていると表現した方がいい。ピッチ上に加えてスタンドにも冷風が送られるスタジアムでは、ナイトゲームになると上着が必要になる。やり過ぎと思えるほどのサービスが、カタール流のおもてなしだそうだ。
 各代表チームの宿舎ホテルでも、効き過ぎた冷房が予期せぬ事態を引き起こした。
 たとえば決勝トーナメント1回戦でポルトガルに大敗したスイスは、数人の主力を体調不良で起用できなかった。おそらくは効き過ぎた冷房が原因で、日本代表のMF久保建英(21、レアル・ソシエダ)も体調不良が長引き、クロアチアとの決勝トーナメント1回戦を欠場した。
 一夜明けた6日に取材対応した久保は、風邪による高熱が原因だったと明かした。
「スペイン戦の翌々日の朝に、高熱が出てしまった。個人的には解熱剤を飲んででも試合に出たかったのですが、ドクターストップがかかったのでダメでした」
 チームが実施した検査で、幸いにも久保は新型コロナウイルスには感染していなかった。しかし大会全体、そしてカタール国内で見れば、実は新型コロナ感染の実態はよくわからない。
 開幕まで1ヵ月を切った10月下旬。カタール国内で実施されてきた、厳しい感染対策を含めた規制が大幅に緩和された。そのなかでも最大の変更が、入国時や公共商業施設などへの入館時に提示を求められてきた、PCR検査による陰性証明書が不要になった点となる。
 カタール大会でも、各チームに新型コロナの定期検査は科されていない。スタジアムを取材で訪れるメディアに対しても然り。日本サッカー協会(JFA)は日々の練習を取材するメディアにマスク着用を呼びかけ、取材対応する選手も事前にJFAからマスクを手渡されている。
 しかし、海外メディアは状況が異なる。ドイツ撃破とともに日本への注目度が増し、活動拠点のアル・サッド・スポーツクラブを訪れるようになった多くの海外メディアは基本的にマスクなし。試合取材でも日本や韓国、中国のメディア以外でマスクを着用しているのは稀だった。

 

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