「中谷潤人が負けるかもしれないと思っていた」なぜ井上尚弥サウジ決戦直前に5月東京ドーム「中谷戦白紙→フェザー級挑戦」のプラン変更騒動が起きたのか…真相とは?
リング上で中谷戦について聞かれた井上は「今夜、お互い無事に勝利できた。大橋会長と方向性を含めて交渉していきたい」と答えるに留めていた。
試合後会見は、中谷が先に行ったため、まだ井上戦は白紙、フェザー級挑戦に切り替わる可能性もあるかもという前提で筆者は質問を投げかけた。
中谷は自らのブレない信念を語りながらも井上戦が消えることへの一抹の不安をこう口にしていた。
「そういう話は入ってきてはいますけど、僕自身はパウンド・フォー・パウンドでナンバーワンになる。この階級で世界チャンピオンになる、という目標で階級を上げてきているので井上選手と戦えないとなったら寂しさはありますけど、その目標は、ブラさずにやっていきたいと思っています」
しかしその数分後に会見場に座った井上は 「そういった話(フェザー級挑戦)もありましたが、今日お互いが勝ってそりゃもうやりましょうよ、と。(大橋)会長にも(言った)」と断言して、その騒動にあっさりとケリをつけた。
中谷の反応は確認していないが、一安心すると同時に、5月のスーパーマッチに向けて気持ちが切り替わったに違いない。
すべてが一件落着となったが、なぜ今回の騒動は起きたのか。
大橋会長が、その背景をこう明かす。
「もともとフェザー級挑戦の話は井上尚弥としていた。記者の皆さんには機会がある度に話をしていたと思う。体もフェザーで戦えるくらい強くなっているし、5階級制覇というモチベーションが生まれる。井上尚弥は、挑戦を受けるより常に挑戦したいという気持ちを持っているからね。ファンも興味深いと思う。その状況の中でその話が出たのは中谷選手がもしかしたらヘルナンデスに負けるかもしれないと思っていたから。もし中谷選手が負けたら東京ドームの試合はできない。ファンの気持ちが冷めちゃうし東京ドームで5万人を埋めるのは簡単じゃないからね。もし中谷選手が負けて、いきなりそこでフェザー級の話が出るのも違う。ファンの方々は戸惑うでしょう」
現役時代にWBC、WBAの2団体のミニマム級世界王者となった大橋会長のボクシングを見る目は誰よりも鋭い。
もし中谷が負ければ井上戦を強行するわけにはいかない。中谷にはまだ井上のようにボクシングの枠を超えて人気を集めるほどの求心力はない。東京ドーム興行を成功させるためプロモーターとして最悪の事態に備えて5階級制覇のプランを準備しておくのは当然だろう。
ヘルナンデスは2024年12月24日に予定していた井上のサム・グッドマン(豪州)戦に備えて招聘したスパーリングパートナーで、その実力を十分に把握していた。

