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クレベル・コイケは予告通りに三角締めで牛久絢太郎に1本勝ち(写真・RIZIN FF)
クレベル・コイケは予告通りに三角締めで牛久絢太郎に1本勝ち(写真・RIZIN FF)

なぜクレベル・コイケは“宝刀”三角締めでRIZINベルトを獲得できたのか…大晦日の対戦候補から朝倉未来が消滅しかけている理由は?

総合格闘技イベントの「RIZIN.39」が23日、福岡のマリンメッセ福岡で行われ、メインのRIZINフェザー級タイトルマッチでは最強挑戦者のクレベル・コイケ(33、ボンサイ柔術)が、王者の牛久絢太郎(27、K-Clann)に、2ラウンド1分29秒、予告通りの三角締めを決めて一本勝ちし新王者となった。当初、大晦日では、この試合の王者に朝倉未来(30、トライフォース赤坂)を挑戦させるプランもあったが、榊原信行CEOは、方向転換、交渉の進んでいるベラトールとの対抗戦にRIZINのエースとして担ぎだす考えを示唆した。

対策を練っていた牛久の誤算

 強い。いや、これがクレベルのボンサイ柔術の魔力なのだろう。
 第2ラウンド。首投げで、巻き込むようにしてテイクダウンを奪うと、牛久の右手をとったまま、逆十字を仕掛け、次に足をタコのように首にまきつけ三角締めのセットアップに入った。そこでクレベルはなにやら吠えるが、牛久は、懸命のディフェンスで耐えた。三角絞め対策を徹底して準備してきて「右に手を出して空間を作ったりした」が、クレベルは体を回転させ、締め方を変えると、牛久はたまらずタップ。しばらく牛久は、その場を動けなかった。
「三角で決める」の予告通りの衝撃の1本勝ち。
 柔術着を着直した後に、リング上でマイクを持ったクレベルは、「今日はめっちゃ嬉しいです。これは日本のベルトでブラジルのベルト。19年間、日本にいる(生活)中でみんなが助けてくれて、今はこうしてファンのみんながサポートしてくれている。本当に日本ありがとう」と、喜びと感謝の言葉を伝えた。
 控室では6年ぶりに1本負けを喫した牛久が「凄く強かった」と新王者を称えた。
 第1ラウンドは牛久がクレベルの“寝技地獄”を耐え切ったかのように見えた。肩固めを決めさせず、下から三角絞めを狙われるポジションになっても、左手をクレベルの喉付近に当ててガード。セットをさせなかった。だが、誤算があった。寝技の攻防でクレベルの下になる時間が長かったことでスタミナ消耗したのだ。そこには牛久にミスがあったという。
「練習でやってきたことが出せなかった。やっちゃいけなことやっちゃってからまわりした。左フックを出してしまった。あれを出すと組まれてしまう。あれは出さない作戦をやってきたが、あの距離で出してしまった。すごく悔しい」
 至近距離で放った左フックを外され、空振りしたところにタックルを仕掛けられてテイクダウンを奪われた。練習の中で、そのパターンに持ち込まれないため、左フックを禁じていたが、「誘われ冷静さがなかった」という。試合開始すぐに関節蹴りを使うなど、「ステップワークを使って」距離を取り戦う作戦だったが、クレベルにうまく間合いを詰め寄られ“罠”にはめられた。それこそがクレベルの魔力である。結果、クレベルに上になられてコントロールされる時間が長くなったことでスタミナを消耗。
「削られてしまった」
 1ラウンドが終わったインターバルで牛久は体力のロスを感じていた。もう2ラウンドのクレベルの寝技の攻めに耐えうるパワーがなくなっていたのである。まるで詰め将棋のようなクレベルの必勝手順だ。

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