そんなことあるの?「一つですがJクラブから声かかる」優勝した神村学園エース日髙元が“就活”兼ねた高校サッカー選手権で7ゴール得点王の活躍が認められて“夢”つかむ
決勝のキックオフ前の時点で、得点ランキングのトップには日髙とチームメイトのFW倉中悠駕(3年)が6ゴールで並んでいた。そして1ゴールを上積みした日髙に対して、倉中は無得点のまま2点をリードした後半35分にMF佐々木悠太(3年)と交代。この瞬間、日髙の単独での得点王獲得が決まった。
神村学園から得点王を輩出するのは、3ゴールで他の4選手とともに獲得した2022年度大会の福田に続く2人目。当時の福田の背番号「13」の継承者でもある日髙は、初優勝に花を添える個人タイトル獲得に意外な言葉を残した。
「大迫勇也選手はやはりすごいなと、あらためて思いました」
現在はJ1のヴィッセル神戸でプレーする35歳のFW大迫勇也は、鹿児島県代表の鹿児島城西のエースとして出場した2008年度大会で、今も大会最多記録となる10ゴールをマークしてチームを準優勝に導いている。
「(一大会で)10ゴールはすごい。でも、7ゴールもまあ良い記録なのかな」
大先輩とのゴール数と比較しながら、日大藤沢(神奈川)との準々決勝を除いた4試合で積み重ねた7ゴールの価値を日髙はあらためて噛みしめた。そして、倉中が全4ゴールを量産した日大藤沢戦が、得点王獲得へのターニングポイントになった。
「準々決勝で自分だけの世界に入ってしまった中で、チームの勝利が何よりも大事だとあらためて気づかされました。その意味で準決勝からは気持ちを切り替えて、得点王よりもチームの優勝と思いました。メンタルの部分で強くなれましたし、同時に有村監督からは『まだまだチャンスはあるぞ』と言われた中で準決勝でも、そして決勝でもワンチャンスを決め切れた。勝負強さも出てきたと思っています」
得点ランキングで一時は倉中の後塵を拝し、焦ってしまった自分を戒めた中で、心身両面でひとつ上のステージへたどり着けたと日髙は感謝する。そして、優勝の余韻が残る試合後には、抱き合った倉中からこんな言葉をかけられたと明かしている。
「おめでとう、と言われました。良い仲間で良いライバルでもあると思っています」
昨夏のインターハイを初めて制覇。今大会の優勝候補に名を連ねた神村学園は、徳村(FC町田ゼルビア)、MF福島和毅(アビスパ福岡)、キャプテンのDF中野陽斗(J2いわきFC)とJクラブ入り内定者を3人も擁する陣容でも注目を集めた。
国士舘大学に進学する倉中をはじめ、他の3年生たちも卒業後の進路が決まっている中で、日髙だけは未定のまま年を越していた。プロを希望する日髙は高校生として臨む最後の大会を、オファーを手繰り寄せるための“就活”の場としても位置づけていた。卒業後のプロ入りが、優勝に続くもう1つの目標となる。

