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今大会で存在感を示した三笘(右)だったが16強の壁を越えれず号泣(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
今大会で存在感を示した三笘(右)だったが16強の壁を越えれず号泣(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

W杯16強の壁を破るのに何が足りなかったのか…三笘、吉田、鎌田、伊東らの涙と言葉から紐解く“答え”とは?「その先に行こうと考えると…」

 FIFAワールドカップ・カタール大会の決勝トーナメント1回戦が5日(日本時間6日未明)、ドーハ近郊のアル・ジャヌーブ・スタジアムで行われ、日本代表はクロアチア代表と1-1のまま延長戦に突入する激闘を演じたが、PK戦となり1-3で敗れ悲願のベスト8進出を逃した。前半43分に右CKの流れからFW前田大然(25、セルティック)が押し込み、今大会で初めて先制した日本は後半10分に失点。その後も延長戦を含めて劣勢を強いられながら耐え抜いたが、1-1で突入したPK戦で3人が失敗して力尽きた。グループステージでドイツ、スペイン両代表を撃破しながら、4度目の挑戦でまたもやベスト16の壁にはね返された。

 「覚悟を決めてプレーしていたつもりだが、ちょっと足りなかった」

 

 こらえていた涙がこぼれ落ちてくる。夢半ばでの敗退が決まった直後のアル・ジャヌーブ・スタジアム内の取材エリア。号泣するMF三笘薫(25、ブライトン)が必死に声を紡いだ。
「僕よりも強い気持ちを持っている選手に対しての、申し訳なさの涙です」
 延長戦を含めた120分間の攻防を1-1で終えた直後。日本のベンチ前で作られた円陣で、森保一監督(54)がPK戦に臨むキッカーを募った。重圧がかかる1番手に立候補したMF南野拓実(27、モナコ)に続いて、2番手として手を挙げたのが三笘だった。
 先蹴りは日本。しかも、PK戦が行われるエンドのゴール裏は日本のサポーターで埋め尽くされていた。絶好のシチュエーションで、しかし、ゴール右へ蹴った南野の一撃は、クロアチアの守護神ドミニク・リバコビッチ(27、ディナモ・ザグレブ)に止められてしまった。
 流れがクロアチアに傾いた状況で、ゴール左を狙った三笘のPKもリバコビッチに弾き返された。迎えた3人目。日本はFW浅野拓磨(28、ボーフム)がしっかりと決め、クロアチアはFWマルコ・リヴァヤ(29、ハイドゥク・スプリト)が左ポストに当てて失敗する。
 膨らみかけた期待は4人目、キャプテンのDF吉田麻也(34、シャルケ)が三度リバコビッチに止められた瞬間に萎んだ。続くMFマリオ・パシャリッチ(27、アタランタ)が確実に決めた瞬間、5人目のMF遠藤航(29、シュツットガルト)が蹴る前に日本の敗退が決まった。
 日本を悲願のベスト8へ導こうと、前人未到の4大会連続出場を達成した36歳の鉄人、DF長友佑都(FC東京)がピッチの内外でチームを鼓舞する姿を目の当たりにしてきた。だからこそ、自身との交代でピッチを去ったベテランの思いも背負ってキッカーを志願した。三笘が続ける。
「覚悟を決めてプレーしていたつもりですけど、ちょっと足りなかったのかなと感じている。悔しさしか残っていないし、本当に自分がPKを蹴るべきだったのか、とも思っている」
 負ければ終わりの大一番。先に試合を動かしたのは日本だった。
 前半43分に獲得した右CK。キッカーのMF堂安律(24、フライブルク)が選択したショートコーナーからMF鎌田大地(26、アイントラハト・フランクフルト)、MF伊東純也(29、スタッド・ランス)をへて再び託されたボールを、堂安がワンタッチでファーサイドへ蹴り込んだ。
 クロアチア戦へ向けた非公開練習で準備していたと伊東は明かした。
「練習でやっていた通りの形から、いい感じで大然のところへこぼれていきました」

 

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