「ピカソのディフェンスは評価すべきところ。だが…」5.2東京ドーム井上尚弥戦に向けてサウジで大苦戦した中谷潤人はその反省をどう生かすのか…「グー・チョキ・パー」論争への答えも
プロボクシング元世界3階級制覇王者でWBA、WBC、WBO世界スーパーバンタム級1位の中谷潤人(28、M.T)が16日、都内のWOWOWでエキサイトマッチSP(19日21時WOWOWプライム&WOWOWオンデマンドで放送)の収録を行った。昨年12月27日のサウジアラビアでのスーパーバンタム級転級マッチは大苦戦して“階級の壁”にぶち当たった。中谷はその反省を生かして5月2日に東京ドームで行われるスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(32、大橋)とのスーパーマッチに挑む考えを明かした。
「反省点ばかりがたくさんある」
「もう違和感はない」という右目はまだ少し腫れが残っているように見えた。それほどサウジでのセバスチャン・ヘルナンデス(メキシコ)とのスーパーバンタム級への転級マッチは過酷なものだった。
序盤こそ距離を取って左ストレートを打ち抜きペースをつかみかけたが、前へ前へと出てくるタフネスなメキシカンを止めきれず「途切れず打ち終わりを狙えない」圧倒的な手数に手を焼き、フルラウンドにもつれこんだ。ジャッジ2人が115-113とつける薄氷の判定勝利。
今回のWOWOWの収録で3度見返したという試合を再度見ることになったが、やはり口をついて出るのは反省ばかりだった。
「反省点がたくさんある。試合の時にどう感じたかを自分自身がわかっている」
試合途中にリングサイドの最前列にいたヘビー級の3団体統一王者でリング誌のパウンド・フォー・パウンドで1位に君臨するオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)からアドバイスを受けたという秘話も明かした。
11ラウンド開始直後にヘルナンデスがワセリンのつけつぎで試合が中断した際に「ナカタニ、ナカタニ」と大きな声が聞こえたため、その方向を見ると、ウシクと目があった。
これまで面識のないウシクが身振り手振りのジェスチャーで、ヘルナンデスに手こずっていた中谷に「相手のガードをとってフックを打て」とのアドバイスを送ってくれたという。右で相手のガードを払い、空いたところへ左フックを打ち込めとの助言。
「これはやるしかないという感じで言われてすぐにやった」
結果的にヘルナンデスにダメージを与えることはできなかったが、試合後にリングを降りてすぐにウシクに「ありがとうございます」と御礼を言うと「これからもがんばれ」との激励の言葉をもらったという。
ただウシクを心配させるほど中谷は“階級の壁”にぶち当たり苦戦したのである。
技術と戦略的には「近い距離でこちらも手数を出して押し返す。距離をキープするために真っ直ぐ(ストレート系)のパンチが必要になる」との改善策を見つけた。
その一方で「ヘルナンデスのファイトスタイル、フィジカルの強さもあったが、階級(の壁)も少なからずあると感じた場面もあった」という。ヘルナンデスの打たれ強さを差し引いても、バンタム級時代には相手が倒れていたパンチが通用しなかった点だ。
「ヘルナンデスとの体格を見比べてもより肉づけはできると感じている。より体を大きくするという意味ではない。めっちゃ筋肉をつけることは考えていない。やることは変わらないが、この階級を体感して意識して、体を作っていく。動きに支障がないように、ずっとやっている下半身を安定させる必要がある。そこが中心」
ヘルナンデス戦で実感した“階級の壁”を乗り越えるため、週一度のフィジカルトレーニングでの意識レベルを変える。
ただ井上が5月2日に東京ドームで待ち受けるスーパーバンタム級で戦うことへの「不安は感じていない」と明言した。

