天心がエストラーダをTKOで破る快挙(写真・山口裕朗)
「負けたら次の日がない」なぜ那須川天心はレジェンドを”病院送り”にし井上陣営を「強くなった」と感嘆させる涙の復活を果たせたのか…「本田会長の決断と父への電話」…知られざる舞台裏
リングサイドには井上拓真陣営の大橋秀行会長がいた。
「強くなった。特に接近戦が強くなったね。自信をもって右アッパー、左アッパーを打った。フェイントのアッパーじゃなく力強く打っている。(井上拓真戦に比べて)パンチが全然違っていた。次はおそらく拓真と井岡選手の勝者との対戦となる。どっちがいっても、ボクシング界が熱くなる。最高の結果となった」
そう評価した上で心から天心の復活劇を喜んだ。
天心は、5月2日の東京ドームでの井上拓真と元4階級制覇王者、井岡一翔の勝者に世界挑戦する指名権を得た。
ここまで天心は一連の試合前の行事で井上拓真の名前を一切出さなかった。
「僕は試合に負けたイコール自分に負けたと思っていた。自分と向き合って本当に自分に勝つ。人の名前で飯は食わない」
敵は自分自身だった。
そして「人が変われることをみせかった」との究極の承認欲求を見事に達成したのである。
この日はやっとその名前を解禁した。
「もうひたすら拓真選手が勝つことを願って、テルテル坊主を作って毎日祈りたい」
それが願望。ただエストラーダが「60-40で経験を持つ井岡が有利」と予想していたように、どちらが勝ってもおかしくない勝負論のある世界戦で、天心の思惑通りに運ぶがどうかはわからない。
天心は「必ずリベンジします」と約束した。
「これで満足することは一切ない。ここからどんどん強くなる。新しい那須川天心をまた見せられる。これは成長したきっかけに過ぎない。まだまだたくさん高い崖を登っていきたい」
世界への再挑戦は9月に予定されている。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

