
「サトテルの“勘違い確信歩き”の怠慢プレーは星野さんなら罰金100万円」阪神が楽天にサヨナラ負けで3年ぶりの6連敗を喫した理由…3人が回跨ぎの執念采配も裏目に
阪神が15日、仙台での楽天戦で延長12回にもつれこむ激闘の末、2-3で2日連続のサヨナラ負けを喫した。3年ぶり6連敗。2-2で迎えた延長12回に藤川球児監督(44)は湯浅京己(25)に回跨ぎの2イニング目を任せたが、これが裏目に出て一死一、三塁から代打黒川史陽(24)にサヨナラ内野安打を許した。6連敗の象徴的シーンが延長11回に佐藤輝明(26)がフェンス直撃の飛球を放ったが、本塁打と勘違いの確信歩きで全力疾走を怠りシングルヒットに終わった怠慢プレー。この日はセ・リーグが全滅で順位やゲーム差に変動はなかったがチームの立て直しが急務だ。
回跨ぎの湯浅が延長12回につかまる
屈辱の6連敗を象徴するシーンだった。
2-2で迎えた延長11回だ。先頭の佐藤は楽天6番手のドラフト4位のルーキー、江原の3球目のフォークのスッポ抜けをしっかりと捉えた。手応え十分だったのだろう。バックスクリーンの右へ飛んでいく打球を見送りながらの確信歩き…。その後、ゆっくりと走り出したが、なんと打球は失速してフェンスを直撃。それを見た佐藤は「おい!」と声をあげて、一塁ベースの手前からスピードアップしたが、もう間に合わずシングルヒットに留まったのである。最初から全力で走っていれば、間違いなく二塁打だった。佐藤は両膝に手をおいて悔しさを示したが、プロのしかも、4番を任せられるチームの看板打者としては、あり得ない怠慢プレーだ。
ある球界OBは怒りを込めてこう伝えた。
「星野さんなら罰金100万円だよ。終わったことはしょうがないではなく、阪神はなにかしらのペナルティを佐藤に与えないとチームはこの後もまとまることはない。それくらい大きい失態だった」
阪神を2003年に優勝へ導いた故・星野仙一氏は、全力プレーがゆえのミスには何ひとつ文句を言わず叱責も行わなかったが、怠慢プレーだけは許さなかった。それは戦闘集団のチームの士気、統率にかかわる問題だからだ。時には鉄拳、時には罰金を取った。
50歳まで現役で投げた中日の“レジェンド左腕”山本昌氏が、いろんなところで証言しているが、中日の監督時代には、怠慢プレーに対して超高額の罰金100万円を科したこともがある。その分、活躍した際には、監督賞などで、しっかりと“返金”していたそうだが、二度と繰り返させないため高額罰金だった。この日のサトテルの怠慢プレーは、罰金100万円に相当するプレーだろう。
スポーツ各紙の報道によると、藤川監督は、この走らなかったことに関して「チームを預かる立場としては、明後日からそういうものがないような姿で、チームとして臨む。自分の責任としてしっかり火曜日からやらなければ」と叱責することなく自らの責任に転嫁したそうだ。
しかし、指揮官として、この問題の“事後処理”を誤れば、今後の阪神の一丸ムードに影響を及ぼしかねない。
なにしろ佐藤が走らずにシングルヒットに留まったことが勝敗に響いたのだ。
続く大山がレフト前ヒットでつないだ。たとえ佐藤が二塁にいても、1本で生還できたかどうかは微妙だが、無死一、三塁の勝ち越し機は作れただろう。
そのチグハグが攻撃のリズムを崩したのだろうか。
無死一、二塁から途中出場の高寺は走者を進めることができなかった。ベンチのサインはバント。江原はコントロールに苦しみカウント3-0となった。当然、ストライクを取りにきたが、高寺は、投球と同時にバントの構えをしたが見送った。ストライクとコールされた。見極めたというよりバントをする意思が見えなかった。「待て」だったのか。それとも自ら1球見たのかはわからない。だが、ひとつストライクを無駄にすることは、心理的なプレッシャーを増すことになる。高寺は、次は最初からバントの構えをしたが、外角球にバットを引き、またストライクとなり、フルカウントに追い込まれてしまったのだ。
ここでベンチのサインはバスターに切り替わった。打球を転がすことが必須だが、ポーンと打ち上げてのレフトフライ。結局、代打糸原、途中出場の梅野と凡打し、勝ち越し機を生かすことができなかった。