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井上尚弥の9.14の名古屋決戦でアフマダリエフに不測の事態が起きた場合のリザーブファイターに指名された前日本同級王者の下町俊貴(写真・山口裕朗)
井上尚弥の9.14の名古屋決戦でアフマダリエフに不測の事態が起きた場合のリザーブファイターに指名された前日本同級王者の下町俊貴(写真・山口裕朗)

それある?井上尚弥9.14名古屋決戦のリザーブファイターはIBF6位のあの日本人サウスポー…アフマダリエフに体重超過など不測の事態が起きた場合にもファンを裏切らないための万全準備

 プロボクシングのスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(32、大橋)が9月14日に名古屋のIGアリーナでWBA世界同級暫定王者のムロジョン・アフマダリエフ(30、ウズベキスタン)を迎え討つビッグマッチのリザーブファイターとして前日本同級王者で現在IBF同6位、WBC同10位、WBA同12位の下町俊貴(28、グリーンツダ)が指名されていることが10日までに明らかになった。アフマダリエフが体重超過や不測の事態で試合出場できなくなった場合に備えての対策。下町は当日の第4試合で韓国同級王者のリー・ハンソル(32、韓国)とスーパーバンタム級ノンタイトル8回戦を戦う予定だが、もしアフマダリエフに不測の事態が起きた場合、下町がアフマダリエフの代役として井上と対戦することになる。

 

井上尚弥がジムワークを打ち上げた。凄い肉体に仕上がった(写真提供・大橋ジム)

 前日本王者の下町俊貴を抜擢

 10日前だ。アフマダリエフが大橋ジムでの公開練習を終えると関係者の間に衝撃が広がった。Tシャツを着たままでその肉体は見せなかったが、その二の腕や首回り、体の分厚さが、とてもスーパーバンタム級の肉体に見えなかったからだ。上背は1m66と低いが、視察した井上の父の真吾トレーナーが「頑丈さとパワー」に要注意マークをつけたほど。過去に体重超過の“前科”は一度もないが、一部関係者の間では、「体重は大丈夫なのか?」の声が起きていた。
 4団体のうちWBCだけは30日前、14日前、7日前の事前計量を義務づけていて、アフマダリエフは30日前を61.2キロ、14日前を57.7キロでクリアしている。
 14日前はリミットの55.34キロの5%プラスの58.1キロに設定されているがそれを400グラムアンダーでパスした。逆に井上は400グラムオーバーだった。
 3%オーバーの57.0キロに設定されている7日前の事前計量をクリアしたかどうかについて、WBCから公式アナウンスはないが、14日前の時点でリミットまで約2.4キロなら、さすがに体重超過の不安はないだろう。しかし、何があっても10分でチケットが完売した名古屋のファンを裏切るわけにはいかない。アフマダリエフが体重超過、あるいは、なんらかのアクシデントでリングに上がれなくなる不測の事態に備えてリザーブファイターが用意された。
 前日本スーパーバンタム級王者で、現在IBF6位、WBC10位、WBA12位にランキングされ、井上への正式な挑戦資格もある下町だ。
 25戦21勝(12KO)1敗3分の戦績を持つ、1m79のスーパーバンタム級では異例ともいえる長身を生かしたサウスポーのアウトボクサー。一発の怖さはないが、そのスピード、ステップワーク、攻守のテクニックは、世界ランカーにふさわしいレベルで、ポイントアウトでペースをつかみながら「負けないボクシング」ができる。アフマダリエフとは、まったくタイプは違うが、同じサウスポーで世界の上位ランカーである点が評価されてリザーブファイターに指名された。
 大橋会長も、その才能と実力を買い、将来の世界王者候補としてこれまで井上のアンダーカードにも2度登場させている。
 高校時代までのアマキャリアがなく、グリーンツダで、ボクシングのイロハを学んだ最近では珍しい叩き上げで、2017年にスーパーバンタム級で全日本新人王を獲得し、日本同級ユース王者を経て2023年の日本スーパーバンタム級王座決定戦でパンチのある大湾硫斗(志成)を空回りさせてタイトルを獲得すると、同王座を4度防衛した。下町陣営では井上がスーパーバンタム級の4つのベルトを返上した際の王座決定戦出場にターゲットを絞り、日本王座を返上して、今年4月には大阪で4年前に井上と戦い、8ラウンドまでなんとかKO負けを引き延ばしたことのあるタフなアラン・ディパエン(タイ)を3-0判定で下している。

 

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