「箱根は私たちが勝ちますよ」全日本大学駅伝は駒大が完勝も3位の青学大・原監督が箱根駅伝に向けて豪語した理由とは?
第57回全日本大学駅伝が2日、名古屋市の熱田神宮~三重県伊勢市の伊勢神宮の8区間、106.8キロコースで行われ、駒沢大が5時間6分53秒で2年ぶり17回目の優勝を飾った。2位は中央大、3位に青山学院大。連覇を狙った国学院大は4位だった。今大会から見えてきた箱根駅伝の展望とは?
青学大のエース黒田朝日がヤバイ!
最多16度の優勝を誇る駒大が大会記録に6秒と迫る5時間6分53秒で2年ぶりの栄冠に輝いた。そのレースは27年前に初優勝のゴールテープを切った藤田敦史監督の思惑通りになった。
「昨年は5区、6区でやられたので、今年はそこがうちのストロングポイントになるように、5区にはエース格の伊藤を配置しました。そして7区、8区の圭汰と山川につなげる構想を練っていましたが、狙い通りになりましたね。伊藤が差をつけた段階で『勝てるかな』と思いました」
駒大は2区の区間記録を保持している佐藤圭汰(4年)を7区、前回8区を日本人歴代2位の57分09秒で快走した主将・山川拓馬(4年)を8区に配置。前回3区2位の伊藤蒼唯(4年)を当日変更で5区に投入すると、その伊藤が爆走した。
35秒のビハインドをひっくり返して、52秒のリードをもぎ取る。区 間記録を17秒も塗り替えて、今大会のMVPに輝いた。
恥骨の疲労骨折から復帰した7区の佐藤は50分26秒の区間3位。本人は「最低でも49分台を出したかった」と納得していなかったが、リードを1分04秒から1分57秒に拡大する。アンカー山川も区間3位と好走して、後続に2分01秒以上の大差をつけて17度目の優勝を飾った。
佐藤を欠いた出雲駅伝は5位に沈んだが、佐藤の復帰でチームは激変。絶対エースが後に控えていることで、前半区間の選手たちが伸び伸びと駆け抜けた。
「狙い通りのレースができたのは、前半区間で流れに乗せられたのが大きかった。そこが勝因じゃないかなと思います。結果を見れば完勝ですけど、4区でトップを奪われましたし、箱根駅伝は簡単じゃないですよ」と藤田監督。正月決戦に向けて、勝負のポイントをこう見ている。
「やっぱり上り下りですよ。平地はいますので、経験者のいる5区と6区をどうするのか。上りに山川を使うのであれば1時間9分がターゲットになるでしょうし、山川以外となると10分台、11分が現実的かなという感じですね。下りは伊藤なら56分台。彼を平地にまわすなら最低でも58分台で下れる選手を作らないと勝負にならない。青学大は2区に黒田朝日君が来ることを考えると、3区が大事になってきます。圭汰が万全であれば3区という構想も出てくるかなと思いますし、これからですね」
山川は5区を2度担っているが、2区の有力候補でもある。本人も両区間をにらんでおり、「2区なら日本人最高記録(1時間5分43秒)は狙いにいき、65分台は確実に出したいと思っています。5区の場合は70分を切って、区間記録(1時間9分11秒)も更新したい。どちらを任されても区間賞が目標です」と力強かった。
前回6区で区間歴代5位の57分38秒をマークしている伊藤も「6区だったら区間新記録。平地だったら区間賞を目指して頑張ります」と話していた。そして順当なら往路のポイント区間が有力な佐藤は、「監督たちが求めているのはチームの流れを変える走りだと思っているので、そういう走りをしたいです」と最後の学生駅伝で爆走を誓っている。

