• HOME
  • 記事
  • 野球
  • 日ハム北海道新球場のファウルゾーン「3m短い問題」の「来季開幕OK、2年かけて改修」のNPB“裁き”をどう評価すべきか?
日ハム新庄監督も新球場の「3m短い問題」の解決を願っていた(資料写真・黒田史夫)
日ハム新庄監督も新球場の「3m短い問題」の解決を願っていた(資料写真・黒田史夫)

日ハム北海道新球場のファウルゾーン「3m短い問題」の「来季開幕OK、2年かけて改修」のNPB“裁き”をどう評価すべきか?

 そもそも今回の騒動はなぜ起きたのか。いったいどこに問題があったのか。日ハムは球団公式サイトで今回の問題が起きた原因を「FSEおよび当球団において公認野球規則の解釈、認識が不十分であったことが挙げられ、もっと早期に本件について自ら気付き、関係各所に相談すべきであった」と反省。さらに「独自の解釈が生じた背景」として「設計を担当した米国設計会社HKS社(本社:アメリカ・テキサス州)より、米国の公認野球規則(OFFICIAL BASEBALL RULES)に準じたMLBにおいては問題がない旨の説明を受けました。OFFICIAL BASEBALL RULESの原文を確認し、本塁からバックストップまでの距離として記載のある60フィートは推奨(recommend)と解釈しました」との一文を掲載している。
 つまり「公認野球規則」には「60フィート以上必要とする」と書かれている規約が、その原文とされるメジャーの野球規則には「60フィートを推奨する」とあるため、米国の会社が問題ないと判断し、それを日ハムも受け入れたというのである。
 だが、里崎氏は、この一連の日ハムの判断に疑問符を投げかけた。
「日本の公認野球規則には60フィート以上が必要であると書いてあるのに、なぜわざわざ日本のプロ野球に適応することのないメジャーの野球規則を引っ張りだしてくるかが理解できない。日ハムの説明は合理性に欠いている。もし米国の設計会社がそう回答してきたのならば、“日本での野球規則はそう書かれていないので問題があるかも”と、米国の会社に投げ返しておかねばならなかったと思う。そして、その米国の会社の見解を新球場に採用するのであれば、まずNPBに問い合わせをすべきだし、そもそも野球規則の誤訳であり、日本の野球規則がおかしいと主張するのであれば、この時点で、改正の議論を主張すべきだったと思う。今回のボタンのかけ違いは、日ハムのお粗末とも言える不十分な対応から生まれたと思う」と手厳しい。
 建設費約600億円を投じる新球場の設計を米国でメジャーのスタジアム建築に実績のあるHKSに発注することが決まったのが2018年11月で2020年4月に着工した。より臨場感を出すためにバックネットまでのファウルゾーンの距離を「公認野球規則」にある18.288mよりも約3m短い15.18mにしたいのであれば、設計図ができた段階でNPBにお伺いを立てるべきだったし、野球規則の改定を求めるのであれば、その時点で意見書なりを提出して議論を喚起すべきだっただろう。

 

関連記事一覧