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日ハム新庄監督も新球場の「3m短い問題」の解決を願っていた(資料写真・黒田史夫)
日ハム新庄監督も新球場の「3m短い問題」の解決を願っていた(資料写真・黒田史夫)

日ハム北海道新球場のファウルゾーン「3m短い問題」の「来季開幕OK、2年かけて改修」のNPB“裁き”をどう評価すべきか?

 実際、広島のマツダスタジアムも、当初はバックネットまでの距離を規則より短いものにしたいと考え、NPBに打診して却下されて断念したという過去の例があるという。
 セ・リーグのアグリーメントでは、新球場の建築や、球場を改修する場合、その様式を事前にリーグ側に審査してもらう必要があることが明記されているためで、パ・リーグには、そのアグリーメントはないのだが、工事が95%進捗する前の段階で確認は必要だっただろう。
「公認野球規則」については、「誤訳説」がまことしやかに流れているが、その経緯についてNPBの井原事務局長は「わからない」と答えたという。里崎氏も、「井原事務局長の答えは、まさに正論で、原文の訳と違うと主張するのは本末転倒な意見」と厳しく指摘した。
「あえて曖昧な表現を避けて60フィート以上が必要だと明記したかもしれず、そのハッキリとしない経緯を誤訳だと主張するのはおかしい。実際の野球規則に必要だと書かれていることが規則なのだ。野球以外の一般社会においても、もしビルを建築する際には、条例や建築基準法に照らし合わせて、建蔽率、容積率に加え、日照権の問題などをクリアしてから工事に着工するだろう。野球界が決めたスタジアムの規則と話は違うが、理屈は同じではないか」
 また今回の騒動を契機に、その「公認野球規則」に定められているファウルゾーンの大きさについて米国に倣って、ファンファーストのより臨場感を求める形に見直すべきではないか?との意見も出ている。だが、里崎氏は、「今の段階で、その議論を行うには無理がある。次に新球場が建設されたり、球場が改修されるのは、いつになるかわからないが、その時点で設計を発注する前に野球規則の改定を提案して議論するべき問題だと思う」という意見だ。
 申告敬遠やリクエスト制度の導入などメジャー追随が大好きなNPBが「公認野球規則」に関しては、権威をふりかざしてメジャーを倣おうとしないことに対して一部では批判の声も出ているが、ファンの声をバックにした日ハムの「やったもん勝ち」が通れば、プロの組織としての秩序はなくなり統制が取れなくなる。里崎氏が主張するように、日ハムが改修に乗り出す2年の間に議論を行い、改修不要論にもっていくには無理がある。
 すべて日ハムの配慮不足とプロセスの間違いが招いた自業自得のミス。ファンが求めるより臨場感の伝わる最新鋭のスタジアムを提供したいとする日ハムのコンセプトは素晴らしいが、ルールを遵守して実行しなければ、目指すべきビジョンの本質を見失うことになるだろう。
(文責・RONSPO編集部)

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