「フジナミの補強は大失敗だった」藤浪が昨季新人王への死球で大ブーイングの後に3失点…米メディアからは困惑評価と厳しい意見

　アスレチックスの藤浪晋太郎（29）が22日(日本時間23日）、敵地のシアトルで行われたマリナーズ戦で中継ぎ登板し、またしても“炎上”した。0－8で迎えた7回から登板、その回は三者凡退に抑えたが、回跨ぎの8回にマリナーズの昨季新人王のフリオ・ロドリゲス（22）に死球をぶつけたことで大ブーイングを受けるなど、場内は騒然となり、結局、2四死球2安打で3失点。チームも2－11で完敗し5連敗となった。米メディアからは、困惑の評価と共に「藤浪の補強は大きな失敗だった」との厳しい声が飛んだ。

　死球をぶつけたロドリゲスに捕手が“釈明”

　シアトルのT－モバイルパークを大ブーイングが包んだ。
　2－8で迎えた8回一死一塁。2イニング目に突入していた藤浪が、昨季の新人王でマリナーズの3番を任されているロドリゲスに投じた初球のストレートがスッポ抜けた。慌てて背中を向いたロドリゲスの脇腹付近を直撃。ロドリゲスが捕手のシェイ・ランゲリアーズに何やら詰め寄り、一瞬、場内が騒然となった。藤浪は帽子のツバあたりを触ったが帽子を取ることはなかったが、ロドリゲスはランゲリアーズの“釈明”に納得したのか、その肩に手をやって話を続け、それ以上荒れることなく一塁へ歩いた。
　米メディアも、このシーンにすぐ反応した。
　アスレチックス専門メディアのA’s Unleashedのカール・ブスチェック氏は「やれやれ。ランゲリアーズがロドリゲスにこれをどうやって説明しているのか聞いてみたい」と映像付きでツイート。シアトル・タイムズ紙のライアン・ディビッシュ記者は、「フェアに言うとフジナミはこの試合まで25回2/3で打者23人を歩かせてきた」とツイートした。ここまで四球が23個で死球も3個。最悪の制球力を伝えることで、藤浪にぶつける意志など、まったくなかったことを伝えたのである。
　ランゲリアーズの“釈明”も同じだったかもしれない。
　藤浪は、この死球で動揺した。4番のジャレド・ケリニックにストライクは先行したが、抜けたスプリットをライト前へ運ばれ一死満塁。ユジニオ・スアレスには、また3－1とカウント負けしてから、フルカウントまでにしたが、低めに投じた158キロのストレートをセンター前へ弾き返されて2失点。さらに一死一、三塁からキャル・ラリーは投手ゴロに打ち取るが、その間に3点目を許した。ヘルナンデスをすべて変化球で三球三振に抑え、なんとか8回を終えたが、藤浪はうつむいてマウンドを降りた。
　また回跨ぎで失敗した。
　7回の藤浪は悪くはなかった。
　ア・リーグ西地区10勝39敗で、ほぼ負け試合が続く最下位独走のチームに敗戦処理も勝ちパターンもあったものではないが、0－8のスコアで、藤浪にプレッシャーがなく、しかも下位打線の7番から始まる楽な場面でマウンドに上がった。
　先頭のテオスカー・ヘルナンデスを3球で追い込み、アウトコースのボールゾーンに曲げるカットボールで空振りの三振。続くA.J.ポラックには全球ストレート勝負を挑み158キロのストレートでセンターライナーに抑えた。3人目のホセ・カバジェロもフルカウントから内角低めに98．6マイル（158.7キロ）のストレートをズバっと決めた。見逃しの三振で三者凡退。だが、また回跨ぎの8回に豹変した。
　先頭のJ.P.クロフォードをスプリットで空振りの三振に斬って取ったところまではよかったが、続くタイ・フランスに突如、四球を与えたところから、ボールを制御できなくなり、ロドリゲスの打席でスタジアムを騒然とさせてしまったのである。
　17日のダイヤモンドバックス戦では3－3の同点で迎えた8回二死二、三塁の大ピンチに投入され、昨年36本塁打を打った4番のクリスチャン・ウォーカーを157キロのストレートで空振りの三振に斬って取ったが、回跨ぎの9回に“炎上”した。本来であれば、いいイメージを残したまま降板しておきたいところだが、アスレチックスの投手事情がそれを許さず、回跨ぎで制球難が顔をのぞかせるという悪循環を断ち切れない。これで3試合連続の失点で成績は、14試合、27回2/3に投げ防御率は12.69、「1イニングでどれだけの走者を出したかという指標」であるWHIPは2.10まで悪化した。
　米メディアも、2つの顔を見せる藤浪の評価を見定めきれない。