• HOME
  • 記事
  • 格闘技
  • 井上尚弥が“モンスター”「最終章」と位置づけたスーパーバンタム級の標的…名前を明かさなかった4人のボクサーとは?
井上尚弥は統一に成功したバンタム級の4つのベルトの返上とスーパーバンタム級への挑戦を表明した(写真・山口裕朗)
井上尚弥は統一に成功したバンタム級の4つのベルトの返上とスーパーバンタム級への挑戦を表明した(写真・山口裕朗)

井上尚弥が“モンスター”「最終章」と位置づけたスーパーバンタム級の標的…名前を明かさなかった4人のボクサーとは?

 1m70クラスの選手がゴロゴロいるスーパーバンタム級で1m65の井上は小柄な方。いわゆる「フレームの違い」と呼ばれる「1.8キロ」の壁が立ちはだかるが、同時に減量苦から解放され、よりベストなパフォーマンスを発揮することもできる。その期待と不安の両面を井上はこう捉えている。
「バンタム級でも減量がきつくなってきていて、バトラー戦も100%足に安定感をもって戦えていたか?と言えばそうではない。1.8キロアップで安定感のあるボクシングができる。相手の耐久性、フレームが上がっていくが、しっかりと仕上げて挑んでいけば、プラマイゼロで戦えるんじゃないか」
 井上は、体重調整で楽をする気はなく、すでに筋肉量を増やす肉体改造に取り組んでいる。
「現状でも、このクラスと戦える自信はあるが、スーパーバンタム級で敵無しの状態を作るには、まだまだ時間がかかる。バンタム級でも見るからに体が違ってきたのは(昨年の)ドネア2、バトラー戦」という考えがあり「最終章」と表現したのだ。
 そしてスーパーバンタム級でも“KOショー”を見せることができるのか?という問題については「そこを狙って挑んでいくが、時には勝ちに徹した戦い方も選択しなければならない」との本音を明かした。
 気になるのは4月に転級第1戦を予定されている井上の挑戦プランだ。井上は「自分としてはスーパーバンタム級のトップ戦線の誰かと戦えればいい。スーパーバンタム級はタレント揃いなんで、どの選手と戦っても面白い。ぱっと思いつく限り4人の選手が上がってくる」と目を輝かせた。
 モンスターがターゲットとする4人とは誰なのか。
 大橋会長は「交渉中です」と口にチャック。井上も「自分から4選手の名前を口にするのは避けておきたい。正式発表まで、しばらくお待ちください」と明かさなかったが、過去の取材から、その4人の名前の想像はつく。
 WBC&WBO王者のフルトン、WBA&IBF王者のアフマダリエフの2人と、WBA1位、WBC2位、WBO3位にいるアザト・ホバニシャン(34、アルメニア)、20戦無敗でWBO1位、WBC、IBF4位のライース・アリーム(32、米国)の4人だ。ホバニシャンは、井上が昨年9月に米国合宿を張った際に“ガチスパー”で拳を交え、すでに“前哨戦”を終えた相手。4年前にWBC世界スーパーバンタム級王者のレイ・バルガス(32、メキシコ)に挑戦して判定で敗れたが、以降は7連勝中。ラフなパワーファイターで、スパーの序盤は井上を勢いで押していた。
 アリームは「ザ・ビースト(野獣)」とトランクスのベルトラインに書き込んでいる元WBA世界同級暫定王者。身長は1m68でリーチが長くスピードと12KOを誇るパンチ力にプラスし反応のいいディフェンスを見せる。
 またスーパーバンタム級の上位ランカーには元WBC世界バンタム級王者の山中慎介氏を2度倒した“悪名高き”元2階級制覇王者のルイス・ネリ(28、メキシコ)もいるが、体重オーバー、ドーピング疑惑などの“反則勝ち”で正統派の井上家では、そういう“悪童ボクサー”をライバルとは認めていない。日本では永久追放となっており、ネリの名前は4人にはないだろう。
 バンタム級時代に一度は対戦が決まったものの、新型コロナの影響で流れ、その後、挑発を繰り返してきた元WBO世界バンタム級王者のジョンリエル・カシメロ(33、フィリピン)もスーパーバンタム級に上げてきた。昨年12月には赤穂亮(36、横浜光)を“ギブアップ”させ(無効試合裁定ものちにKO勝利)、再び井上をつけ回してくるが、彼もまた失態を演じバトラー戦が2試合続けて中止になった過去があり眼中には入れたくないボクサーだ。
 また「本来のフレームが違う」との根拠を示し「井上に勝てる」と強気な発言をしている元2階級制覇王者の亀田和毅(31、TMK)も視野にない。

 

関連記事一覧