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因縁の井上尚弥戦を元3階級王者“悪童”カシメロがリング上マイクで要望もKO決着できずスタミナ切れ露呈でアピール“不発”

 プロボクシングのWBOグローバル・スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦が13日、フィリピンのオカダマニラ&カジノで行われ、元世界3階級制覇王者でWBO世界スーパーバンタム級5位のジョンリール・カシメロ(34、フィリピン)が、WBOグローバル王者で同級10位のフィリップス・ンギーチュンバ(27、ナミビア)に3-0の判定勝利を収めてベルトを獲得した。6回にダウンを奪うなど試合を支配したが、KO決着はできず後半はスタミナ切れを露呈。試合後にバンタム級の元4団体統一王者である井上尚弥(30、大橋)との一戦をマイクでアピールしたが、その言葉とは裏腹に肝心の試合内容は“モンスター”のライバルとなるには物足りなかった。

(写真提供・TBプロモーション提供)

 6回に左フックで強烈なダウンを奪うも

 

 “悪童”カシメロにも“階級の壁”が立ちふさがった。
 6ラウンド開始早々。左右のフックからンギーチュンバを誘いだし強烈なカウンターの左フックでダウンを奪う。背中からキャンバスに落ちたWBOグローバル王者は、一度、腰を上げようとして、よろけるほどのダメージを受けていたが、クビを振って意識を取り戻して立ち上がった。
 一気にフィニッシュを狙うカシメロは猛攻を仕掛ける。しかし巧みなクリンチワークでしのがれ、仕留めきれず、ラウンドの終盤は逆に打ち疲れてしまっていた。その後のラウンドでも、カシメロは、左右のボディ、左フック、アッパーと、要所、要所でクリーンヒットを重ねるが、KOまで持ち込めない。バンタム級時代のカシメロなら一発で終わらせることができただろうが、新たに挑戦するスーパーバンタム級では、明らかにフィジカル、パワーの差があった。 
 逆にデビュー戦で黒星を喫した後に12連勝、現在7連続KO中だったタフなナミビア人のパワフルな反撃に四苦八苦する始末で、露骨に休むラウンドを作るなど、後半は完全にスタミナ切れとなった。
 それでも3年9か月ぶりの地元フィリピンでの凱旋試合をKOで飾りたかったのだろう。最終ラウンドに右から強引に倒しにいくが、またすぐに“燃料切れ”で、ンギーチュンバの左を浴びるなど、反応も鈍くなり12ラウンド終了のゴングを聞くことになった。
 116-110が2人、114-112が1人の3-0判定。ンギーチュンバは頭を抱え、新王者となったカシメロ陣営は喜びを爆発させた。
 ベルトを肩からかけてリング上でマイクを持ったカシメロはタガログ語で話を始めたが、最後に「次戦はビックファイトをやりたい」とアピール。陣営や会場から「イノウエ」「イノウエ」と井上との対戦を求めるコールが起きると、カシメロも、その声に応えて「イノウエ」の名前を出して、7月25日に有明アリーナでWBO&WBC世界スーパーバンタム級王者のスティーブン・フルトン(米国)に挑戦する“モンスター”との対戦を熱望した。
 カシメロは、WBO世界バンタム級王者だった2019年4月25日に米国ラスベガスで、当時WBA世界同級スーパー&IBF王者だった井上と3団体統一戦を行うことが決定していた。だが、新型コロナの影響で流れ、その後も、SNSなどを通じて、井上への挑発行為を繰り返したが、モンスターとのタイトル戦は実現しなかった。

 

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