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阪神OBの赤星氏が沖縄キャンプで臨時コーチを務めた(写真・黒田史夫)
阪神OBの赤星氏が沖縄キャンプで臨時コーチを務めた(写真・黒田史夫)

阪神OBの赤星憲広氏は臨時コーチとして何を教えたのか…アレ狙う岡田監督発案の“走塁革命”をサポート

 そして赤星氏の近本、中野、島田、植田、熊谷のスペシャリストに絞っての走塁教室の“3時限目“が盗塁の成功率アップにつながる「足からの帰塁」だった。これも岡田監督の「赤星!現役時代は足から帰塁していたよな」の発案がきっかけ。昨年まで阪神は、ほとんどの選手が手から滑り込んで帰塁していた。だが、赤星氏曰く「手から戻るのは最終手段。そっちが楽。基本は足からの帰塁」だと言い、世界の盗塁王の福本豊氏からも「足から戻れ」と教えられた。
「足からの帰塁」には、「その練習で反応がよくなる」など、盗塁成功率を高める様々な要素があるが、加えて、怪我の防止、牽制球がそれた場合にすぐに二塁を狙えるなどのプラス効果がある。さっそく赤星氏は実演を交えて「足からの帰塁」の極意を伝えた。
「盗塁は、みんな真っ直ぐ走る工夫をするが、帰塁は真っ直ぐ戻れないもので、蛇行して内側から戻ってしまう。基本はタッチが遠くなる右足でベースに戻る。リードの限界値が出せるので、もう半歩、一歩出られる。僕の場合は、絶対に走らねばならない場面でリードが増えた」
 今季から岡田監督は、昨年まで矢野監督が足のスペシャリストに与えていた「いけるときはいつでも自分の判断で走れ」という「グリーンライト」を撤廃。サインで盗塁を指示する「ディスボール」の方針に切り替える。
「グリーンライト」は、選手任せでベンチが責任を負わない野球で、ここぞという肝心な場面では、選手が大事にいこうとするため機動力が使えなかった。矢野監督の采配も接戦になれば硬直化するため、それがチームに伝染してしまっていた。
 矢野監督の就任以来、4年連続でチーム盗塁数はリーグトップで、盗塁王も近本が2019、2020、2022年、中野が2021年に獲得して4年連続で阪神が独占しているものの、それが優勝につながらない。その理由のひとつが「グリーンライト」にあった。
 赤星氏は、そのグリーンライト撤廃の方針に賛同した。
「どれだけ盗塁のサイン出すか、ですが、盗塁数は去年よりも減ると思う。その中でどれだけ盗塁の精度を上げられるか。監督が“行ってくれ“というところで確実に決められるようになれば、数は減っても成功率が上がり、得点につながる」
 赤星氏は、現役時代に基本グリーンライトの権利を与えられていたが、スタートを切れなくなった時期があり、そこで岡田監督から盗塁のサインが出て成功したことがある。
 赤星氏は、5人のスペシャリストたちに「監督がサインを出すなら(失敗しても)監督の責任。どんどんいってやろう、監督が背中を押してくれると思って走ったらいい」とアドバイスを送った。

 

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