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大阪マラソンで西山和弥が初マラソン日本最高記録となる2時間6分45秒で日本人トップの6位でゴール(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
大阪マラソンで西山和弥が初マラソン日本最高記録となる2時間6分45秒で日本人トップの6位でゴール(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

なぜ大阪で西山和弥の初マラソン日本最高記録を含む6分台ランナーが3人も生まれたのか…好記録連発の背景にカーボン厚底シューズの普及と箱根ライバル…パリ五輪には厳しい現実

 初マラソン日本最高記録を30年以上も保持してきた森下広一(現・トヨタ自動車九州)は、バルセロナ五輪で銀メダルを獲得することになるが、記録を叩き出した際の世界との差は、そこまで大きくはなかった。
 森下は、1991年の別府大分でソウル五輪4位の中山竹通をラストスパートで引き離して2時間8分53秒で優勝したのだが、当時の世界記録(2時間6分50秒)とは2分03秒差だった。
 今年の別府大分で横田がマークした日本学生記録もレベルが高いとはいえない。2時間7分47秒は昨年の世界リストでは135位相当だ。一方、2003年のびわ湖で日本学生記録(当時)を打ち立てた藤原正和(現・中大駅伝監督)のタイムは2時間8分12秒で、2003年の世界リストで30位だった。現在でいうと、2時間5分20秒(2022年世界リスト30位)を出したぐらいのインパクトになる。
 また記録だけでなく、順位やレース内容も大切になる。今回の大阪は37㎞付近で海外勢がペースアップしたとき、真っ向勝負できる日本人選手はいなかった。日本人最高順位は、世界陸連による大会の格付けでゴールドラベルの大阪で6位、エリートラベルの別府大分で3位(最高ランクはプラチナラベル)。これが日本のマラソン界の現状ではないだろうか。
 パリ五輪で勝負するためにも、日本人の中での好タイムではなく、グローバルスタンダードでの好タイムを3月5日の東京マラソンでは期待したい。 
(文責・酒井政人/スポーツライター)

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