ホンダがアストンマーティンと組んで2026年からF1復帰することが発表された。写真は左からHRC渡辺康治社長、ホンダ三部敏宏社長、アストンマーティンF1のローレンス・ストロール・オーナー、マーティン・ウィットマーシュCEO(写真・ロイター/アフロ)
ホンダがアストンマーティンと組んで2026年からF1復帰することが発表された。写真は左からHRC渡辺康治社長、ホンダ三部敏宏社長、アストンマーティンF1のローレンス・ストロール・オーナー、マーティン・ウィットマーシュCEO(写真・ロイター/アフロ)

なぜホンダは2026年からのF1復帰を決断したのか…取り巻く複雑な環境の変化とアストンマーティンの熱意

 

ホンダが2026年からアストンマーティンにパワーユニット(PU)を供給することを24日に発表した。ホンダは2021年限りでパワーユニット・マニュファクチャラーとしてのF1参戦を終了した。その最大の理由は、社の命運を賭けて、現在内燃機関によって製造している市販車を電動化へ大きく転換し、カーボンニュートラル実現に向けて本腰を入れて取り組まなければならなくなったからだ。
 その撤退発表を行ったのが2020年の10月。すでに2026年から導入される次世代PUに関するレギュレーションに関する話し合いは開始されていたが、遅々として進まなかった。ところが、ホンダの撤退発表を受け、F1と国際自動車連盟(FIA)、そして既存の自動車メーカーが危機感を募らせ、話し合いが急速に進展。2022年の8月に、高出力モーターや大電力を扱える高性能バッテリーを搭載した新しいPUを2026年から導入することをF1とFIAが発表した。
 これを受け、ホンダは2022年11月に、FIAに新PUの製造者登録を申請。2026年以降にF1に参戦するマニュファクチャラーによって行われる会議への参加を始めた。その結果、
「F1が、ホンダの目指すカーボンニュートラルの方向性と合致する、サステナブルな存在となり、私たちの電動化技術を促進するプラットフォームとなっていること。これが、ホンダとして再びF1にチャレンジする大きな理由の一つとなりました」(三部敏宏社長)との理由から、F1活動再開を決定した。

 ホンダはこれまでもF1への挑戦において、参戦と撤退を繰り返してきた。第1期と呼ばれる1964年から1968年までの5シーズン。その後、F1に復帰したのは1983年。15年間のブランクがあった。
 1983年から始まった第2期は1992年までの10シーズン続いた。ホンダが再びF1に復帰したのは、その8年後の2000年。第3期は2008年まで9シーズン続いた。そして、7年後の2015年に第4期がスタートするも、7年後の2021年限りでF1参戦を終了。
 そして、今回2026年にアストンマーティンとパートナーを組むことを発表。撤退した2021年からわずか4年後に復帰するスピード復帰となった。
 こうして振り返るとホンダのF1活動は年を追うごとに活動期間も休止期間もともに短くなっていることがわかる。それだけ、ホンダを取り巻く環境の変化が激しくなっているとも言える。
 その中でも、5年のブランクを経て、今回復帰するに至った背景には、2021年限りで撤退した後の状況と、その後のF1を取り巻く変化が大きく影響している。ホンダがF1からの撤退を発表した時点で、レッドブルと姉妹チームのアルファタウリの2チームは、2022年以降に搭載するPUを失う危機に面していた。

 

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