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18年ぶりの優勝へのカウントダウンが始まった阪神の岡田監督の何がどう変わったのか(写真・黒田史夫)
18年ぶりの優勝へのカウントダウンが始まった阪神の岡田監督の何がどう変わったのか(写真・黒田史夫)

なぜ阪神はGT戦の3タテに成功し7連勝したのか…冴えわたる岡田采配と近本が「凄くいいチームだ」と明かす一体感

 阪神が10日、東京ドームでの巨人戦に5-2で逆転勝利、2カード連続の3タテに成功して連勝を7に伸ばした。貯金は「21」。阪神は3回に併殺崩れの間に先制されたが、7回に巨人の守備の乱れにつけこんで同点にすると続けて近本光司(28)が勝ち越しの6号2ラン。1失点で踏ん張ってきた先発の才木浩人(24)が8回につかまったが、加治屋蓮(31)、島本浩也(30)の“一人一殺”の継投でリードを守り、9回には代打の代打で登場した原口文仁(31)が開幕カード以来となるダメ押しの2号2ランを放ち巨人を突き放した。2位の広島がヤクルトに3連敗したためゲーム差は5.5に開いた。

 中田の牽制球を捕れないミスで島田が同点ホーム

 

 “アレ”に突き進むチームのオーラが阪神にある。
 交流戦前の5月に9連勝をした際、平田ヘッドは、「相手が過剰に意識して勝手にこけてくれる。そのプラス連鎖が連勝の勢い」と明かしていたが、その“オーラ”が、巨人の信じられないようなミスを誘う。
 1点を追う7回。先頭のノイジーの打球がライトスタンドへ向かって飛んでいった。打球は、フェンスと、その上にある手すりの間の金網にぶつかる二塁打。岡田監督がリクエストをかけたほど本塁打か二塁打かの見分けがつかない打球だった。阪神ベンチは迷わずノイジーに代えて島田を代走に送った。
 続く梅野の打席で岡田監督が動く。初球はバントのサイン。梅野がファウルにすると、なんとベンチの岡田監督はブロックサインを「打て!」のジェスチャーで締めたのである。梅野はバントの構えからバスターに打って出たが、これもファウル。何をしてくるかわからない虎の陽動作戦に6回まで無失点に抑えていた戸郷の何かが狂ったのかもしれない。結局、ヒッティングに切り替え、梅野はピッチャーゴロに倒れたが、バウンドが高くはねたのを見た島田が三塁を狙い、フィールディングに定評のある戸郷が三塁へ送球したが、少し本塁側に逸れたため間一髪、島田の足が先に三塁ベースに届いた。
 無死一、三塁の同点機に木浪を打席に迎えて、一塁の中田がとんでもないボーンヘッドをやってしまう。カウント1-1から戸郷が牽制球を投げたが、ベースにもつかずにまったくケアをしていなかった中田がふいを突かれてグラブに当てて弾き、ボールが転々とする間に、島田が同点ホームを駆け抜けたのである。おそらくベースにつかなくてもいい指示が出ていたため、中田はボールから目を切っていたのだろう。
木浪が三振に倒れ、才木は2打席続けてバントに失敗した。だが、近本がひとふりで才木のミスを帳消しにしてしまう。
「インコースに来るだろうと思って。後ろにつなぐつもりでしっかり振りきった」
 カウント2-2から148キロの内角ストレートを捉えた勝ち越しの6号2ランはライトスタンドの上段近くまで飛んでいった。これが129球目。スポーツ各紙の報道によると岡田監督は「5回で90球いっていたから、これ6回か7回でつかまるみたいなことを(コーチに)言っていた」という。
 本来、早打ちの森下でさえ6回までの3打席で計17球を投げさせた。そういう小さな積み重ねがボディブローのように巨人のエースを追い詰めていったのである。

 

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