元2階級制覇王者の中谷潤人(上)と元K-1王者の武居由樹(下)の2人が今年バンタム級の世界ベルトを巻く可能性が高い(写真・アフロ/山口裕朗)
元2階級制覇王者の中谷潤人(上)と元K-1王者の武居由樹(下)の2人が今年バンタム級の世界ベルトを巻く可能性が高い(写真・アフロ/山口裕朗)

井上尚弥が統一したバンタム級を2024年に日本人王者が独占?!

 王者のロドリゲスは、5年前に英国グラスゴーで行われたWBSSの準決勝で井上尚弥に2回に倒されたが、昨年8月に同王座の決定戦でメルビン・ロペス(ニカラグア)を3-0判定で下し王者に返り咲いた。一時、引退表明をしたが、大晦日に来日していた担当のトレーナーは「不満があって一時の気の迷いで発言しただけ。いつでも防衛戦ができる準備ができている」という話をしていた。

 ロドリゲスは、1ラウンドだけだったが、モンスターを緊張させ本気にさせたファイター。打撃戦になれば不利だが、西田が得意とするアウトボクシングを徹底できれば面白い。
 西田は、大晦日の練習の打ち上げの後に公式Xを更新して「来年は世界チャンピオンになります」と宣言している。
 その西田に敗れた比嘉も順番待ちの列に並んでいる一人。現在、WBA、WBOの同級5位で完全にスランプを脱出。大晦日には井岡のセミファイナルで世界戦経験があるWBC同級5位ナワポン・カイカンハ(タイ)を4回に強烈な左ボディでキャンバスに沈めた。3回に右フックを効かされたが、そこからの逆転劇。ステップワークやコンビネーションブローという新境地も披露した。試合前には、井上拓真とWBC王座に挑戦する中谷を意識。「2人(拓真、中谷)との差を埋めたい」と公言して世界前哨戦のリングに立った。
「まだ差は埋めてないかもしれないが、試合内容としては面白い試合だったと思う。世界戦は一発勝負の世界。結果がすべて。自分で選ぶ権利はないが、今日の試合みたいにパンチを振っていれば逆転の可能性はある。あとは運と練習ですよね」
 “二人三脚”でここまで来た野木丈司トレーナーも「世界戦へいくには、あともうひとつ。ただ過程としてよかった。乗っているときのパンチは世界で通用する。それが増えてきた」と評価していた。
 拓真も中谷も、“次の次”は指名試合になる予定なので比嘉に出番が回ってくるとしても、今年の終盤になるが、日本人対決が熱くなるのは間違いない。
 また日本バンタム級王者の堤聖也(角海老宝石)もベルトを返上し、世界挑戦チャンスに備えている一人。WBAで3位、IBFで4位にランクされている。
 そして拓真、中谷の2人が口を揃えてぶちあげているのが「ベルトの統一」。井上尚弥が成し遂げた4団体統一の偉業への挑戦である。
 拓真と武居は同門なので、その対決は無理だが、中谷、西田が王者となれば、日本人同士の統一戦の可能性が生まれる。あるプロモーターは「4人の日本人世界王者が誕生すれば統一戦トーナメントを企画しても面白いかもしれない」という話をしていた。可能性としてなきにしもあらずの新春の初夢である。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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