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ソフトバンクの和田毅が西武からFAで獲得した山川穂高の人的補償候補だったという衝撃報道が騒動の発端(写真・アフロ)
ソフトバンクの和田毅が西武からFAで獲得した山川穂高の人的補償候補だったという衝撃報道が騒動の発端(写真・アフロ)

「私が王貞治会長の立場でも和田毅はプロテクトから外す。ソフトバンクの失態はその後の対応だ」球界大御所が今なお尾を引く西武との“人的補償騒動”に独自見解

 そして和田に対しても苦言を呈した。
「和田は早大の後輩だし、聡明な男だ。だが、自分の代わりに西武へ行く選手が出てくることを考えたのだろうか。甲斐野が一番の犠牲者じゃないか。もしかしたら和田に打診する前にソフトバンクが独自判断で他の選手に変更してもらえないか?と西武にお願いしたのかもしれないが…。ワガママがまかり通るならルールなどいらない」
 ルール上は、選手の指名が白紙に戻ることはないのだが、過去に似たようなケースはあった。2017年オフの中日の岩瀬仁紀の拒否騒動。中日がFA宣言した日ハムの捕手の大野奨太を獲得。日ハムは人的補償にプロテクトから外れていた当時43歳のレジェンドストッパーの岩瀬を指名することを中日に打診したが、岩瀬が移籍を拒否。実行されれば引退することさえ示唆したため、それらの事情を説明すると、日ハムは“大人の対応”で方針を転換して金銭だけの補償に落ち着いた。
 広岡氏は、今回の騒動にコミッショナーが介入しなかったことを問題視した。
「コミッショナーは何をしていたのか。これだけの騒動になったのだ。調査に乗り出さねばならない問題であるし、そもそもプロテクトリストのやりとりも両球団だけに任せるのではなく、コミッショナーが介入すべきだ。チェック機能があれば、裏取引のようなことはできなくなる。報道されている内容が事実であれば、ルール違反を犯したわけだから、ペナルティが科せられる問題だろう」
 一方で現在A、BランクのFA選手に対して適用されている人的補償の制度そのものを廃止すべきではないか、という議論もある。実際、プロ野球選手会は、人的補償廃止を決議してNPBに訴えている。
 広岡氏は「人的補償は必要」との意見。
「日本のFA制度は、アメリカに比べて資格を得るまでの期間が長く、過去の例を見ても、巨人やソフトバンクなど資金力のある一部のチームだけが有利に使い、流出球団にも偏りがある。人的補償がなければ戦力の均衡が保てなくなる。選手会も人的補償の廃止を訴えるなら、ドラフト権の譲渡など、それに代わる具体的な代替案を出さねばならないだろう」
 過去のFA獲得選手数は巨人が28人で最多、2位がソフトバンクの17人。一方で流出する側は、西武が21人で最多、次いで日ハムの15人。広岡氏が指摘するように偏りがあり、今回の騒動をきっかけに、いきなり人的補償の廃止へ制度を見直すことは難しいだろう。ソフトバンク、西武の2チームは、ある意味、ファンの注目を集める中で球春を迎える。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)

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