アジア杯から帰国した森保監督が囲み取材に応じた
アジア杯から帰国した森保監督が囲み取材に応じた

SNSで飛び交う「解任論」…アジア杯から帰国した森保監督の反応は?

 かみ合わない質疑応答を、何度聞かされてきただろうか。
思い出されるのは2022年6月。チュニジア代表との国際親善試合で完敗した直後に、途中から投入されたMF三笘が「チームとしてどのように攻めるのか、という意識の共有とバリエーションが必要だと思う」と思いの丈を訴えたのに対して、森保監督が「さらに独力で突破できる選手に成長してほしい」と求めたやり取りだ。
 その半年後に行われたカタールW杯のグループステージで、優勝経験のあるドイツ、スペイン両代表をともに逆転で撃破。芳しくなかった下馬評を覆した快進撃が放つ輝きに覆い隠された問題点が、優勝を目指したはずのアジアカップで再びあぶり出された。イラン戦でも三笘にほとんどパスは通らず、最後までイランの脅威にならなかった。
 地上波でも生中継されたイラン戦で喫した完敗は、同じく地上波で生中継されながらも、ロングボール戦法で後手を踏み続けた末に敗れたイラク代表戦と合わせてファン・サポーターを失望させた。敗戦から24時間あまりが経過していたにもかかわらず、X(旧ツイッター)上では「#森保解任」や「#監督解任」がトレンド入りしていたほどだ。
 森保監督は「常に反省はありますけど、後悔はまったくありません」とアジアカップを振り返りながら、SNS上で飛び交う批判を真正面から受け止めた。
「結果が出なければ厳しく評価されることも真摯に受け止めたい。自分が最善と思えたことを常に見つけていますし、試合の勝敗はありますけど、選手もスタッフも100%の努力をしてくれている意味で、試合前の時点で結果を受け入れられる気持ちにさせてもらえているだけで幸せです。これからもいろいろな見方がある中で、声を上げていただければ」
 自身の去就に関しては、カタール入りしている日本サッカー協会の田嶋幸三会長(66)が、イラン戦の直後に続投を明言している。これに森保監督もこう応えた。
「すべての試合へ、道が続くのか、途絶えるのかという思いで臨んでいます。優勝を目標に掲げた今回も責任が問われるというか、そういう声が上がるだろうと覚悟していました。そのなかで会長が続投という声をかけてくださったのであれば、自分のできることを全力で、チームのために、選手のために、そして日本のためにやっていきたい」
 羽田空港で取材に応じる直前には、所属するモナコに戻った南野が、前日のイラン戦に続いてル・アーヴルとのリーグ戦に途中出場している。試合映像もチェックしたという森保監督は、前へ進み始めている南野の姿に触発されたかのように、3月に国立競技場と平壌で連戦が待つ、北朝鮮とのW杯アジア2次予選へ向けて努めて前を見すえた。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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