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井上尚弥が5.6東京ドームのネリ戦に向けての練習を公開。サンドバック打ちを披露した(写真・山口裕朗)
井上尚弥が5.6東京ドームのネリ戦に向けての練習を公開。サンドバック打ちを披露した(写真・山口裕朗)

なんだお前!反省してなかった“悪童”ネリの「井上尚弥は自信過剰で過大評価されているだけ」「肉体が小さく平凡なボクサー」の挑発を2階級4団体王者が無視する理由とは?

 なぜなのか?
 父の真吾トレーナーが、その理由の一端を明かす。
「どれだけ冷静にいくか。ラフファイトになっても不安はない。丁寧に丁寧に試合をしたい」
 ネリはインタビューで「KOを狙いにいく。判定を求めて日本には行かない。前に出るのが好きだ。早く終わらせたい。この戦いは間違いなくKOで終わる」とも語っている。積極的に前に出てくるだろう。
 カウンターで待ち受ける井上にしてみれば、格好の展開だが、そこで注意すべきは気持ちが前に出過ぎてボクシングが荒くなること。ネリは「井上の弱点はパンチを放つ際にガードが空くこと。そこがオレの出番だ」とも豪語している。挑発することでモンスターを怒らせ、「頭がいい」と評価する井上のコンピューターを狂わせる狙いがある。
 過去に井上が感情をコントロールできなかった試合は、ほぼないが、バンタム級挑戦初戦となった2018年のジェイミー・マクドネル戦では計量に1時間遅刻するなどリスペクトに欠く態度を繰り返した王者に怒りが沸騰。わずか112秒で倒したが、珍しくボクシングが雑になったことがある。
 パウンド・フォー・パウンドとして評価されるようになってからは、あまりにも強すぎて好敵手がおらず、常に見えない内側の敵と戦ってきた井上が、今度は珍しく感情という敵と戦わねばならない。だから挑発には乗らない。
 ネリは多彩な左を振り回してくるが、そのタイミングが独特で、なおさら冷静な分析と警戒が必要になる。
「感覚ですね。ネリはスピードがない。スローで打ってくる選手にどういったズレが生じるか。(メキシコ人との)スパーでその動きをやってもらってはいないが、過去にメキシカンの独特の遅れたパンチは経験している。当日、ネリをどう感じるか。リング上での察知力?まずはそこですね」
 井上は「1ラウンドから2ラウンドの出だしには」察知できる能力がある。それ次第で「早い決着があるかも」とも言う。
 ネリのことを「細かいテクニックもある」とも分析しているが、攻撃に来る際にネリにもスキが生まれる。ネリが、唯一KO負けを喫した2021年のブランドン・フィゲロアとのスーパーバンタム級の2団体統一戦では、激しい打撃戦の中で右の脇腹に一撃を食らって悶絶した。
「ボディが弱点のように言われているが、あのタイミングでもらえば誰でも倒れる。ボディは意識しない」
 井上は打撃戦の中でのスキを見逃さないだろう。
「危険でリスクも大きいが、驚く結果になる。何ラウンドになるかわからないが、どのパンチでも倒せる準備している」
 井上は会見で「最高」という言葉を何度か繰り返した。

 

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