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川崎に敗れてクリスティアーノ・ロナウドも目に涙(写真・ロイター/アフロ)
川崎に敗れてクリスティアーノ・ロナウドも目に涙(写真・ロイター/アフロ)

なぜ川崎フロンターレはクリスティアーノ・ロナウドを封じ込めて初のACLE決勝進出を果たすことに成功したのか?

 AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)準決勝が30日(日本時間1日)、サウジアラビアのジッダで行われ、川崎フロンターレが3-2でレジェンド、FWクリスティアーノ・ロナウド(40)を擁するアル・ナスル(サウジアラビア)を破り、クラブ史上初のアジア制覇へ王手をかけた。後半31分までに3ゴールを奪った川崎は、チーム一丸となった守備でロナウドらの強力攻撃陣を封じ込んだ。。日本勢6度目の優勝をかけて、3日(日本時間4日)の決勝でアル・アハリと対戦する。

 開催国の優勝候補アル・ナスルを3-2のスコアで振り切る

 年俸総額で500億円以上の開きがあるスター軍団を撃破した。準々決勝以降はサウジアラビアで集中開催されているACLEのノックアウトステージ。サウジアラビアのアル・ナスルを3-2で振り切った川崎が、クラブ史上初の決勝進出を果たした。
 感極まったのか。森保ジャパンに名を連ねる20歳のホープ、DF高井幸大が試合後のフラッシュインタビューでちょっとだけ声を詰まらせた。
「まあ…前線の選手が点を取ってくれて、2失点しましたけど、勝ててよかったです」
 後半アディショナルタイム4分。ペナルティーエリアのすぐ外側で、高井はアル・ナスルのブラジル人FWウェズレイ(20)を倒して直接FKを与えた。キッカーはロナウド。点差はわずか1点。絶体絶命のピンチを招いてしまった。
 ロナウドは壁の上を狙わず、合間を射抜く低空の一撃を放った。予期せぬシュートに川崎の守護神、山口瑠伊(26)もバランスを崩す。しかし、懸命に残した右足でボールを弾き返した。直後にもロナウドに抜け出されたが、途中出場していたDF佐々木旭(25)が必死にブロック。背番号「7」にシュートを打たせなかった。
 ポルトガル代表のロナウドだけではない。前半28分に一時は同点に追いつくゴールを決めたセネガル代表FWサディオ・マネ(33)、1月まで英プレミアリーグでプレーしていたFWジョン・デュラン(21)らに象徴される“個”の力を封じ込めた、自身を含めたチーム一丸の守備に感謝するように高井は言葉を紡いだ。
「正直、個のところではチームとして負けていましたけど、日本人らしい、組織的な戦い方で勝ったと思うし、次も本当に個で素晴らしい選手がたくさんいるので、自分たちはアジリティーやチームワークで相手を上回りたいと思います」
 アル・サッド(カタール)を延長戦の末に、3-2で下した27日の準々決勝から中2日。120分間を戦い抜いた選手たちのコンディションを考慮した、川崎の長谷部茂利監督(54)は先発メンバーを5人も変更。トップ下に20歳の大関友翔、1トップにはプロ初先発の19歳の神田奏真らを抜擢した。
 指揮官の意図を選手たちも十分に理解していた。大関が言う。
「自分と奏真が出場している意味というのは、若さもそうですし、何よりもプレッシャーをかけるところを求められたと思うので。そこをやりながらも、得点のチャンスはずっと狙っていたので、いい時間に取れたと思います」
 前半10分に同じく先発に抜擢されたFW伊藤達哉(27)のゴールで先制するも、マネの豪快なミドルシュートで同28分に同点とされた。迎えた同41分。チャンスの匂いを嗅ぎとった伊藤と大関が、相手ゴールに風穴を開けた。
 左サイドからFWマルシーニョ(29)が送った横パスが神田に合わない。しかし、右サイドからポジションを移してきた伊藤がこぼれ球を拾い、すかさず縦へ仕掛ける。右側をフォローしてきた神田へのパスは相手に当たったが、はね返ってきたボールを伊藤がシュート。相手キーパーが防いだボールを、大関が左足で押し込んだ。

 

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