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阪神の坂本誠志郎捕手は中日のWスチールを防ぐことができなかった
阪神の坂本誠志郎捕手は中日のWスチールを防ぐことができなかった

「阪神ベンチと守備陣の準備不足」なぜタイガースは中日の偽装プレーのWスチールを防ぐことができなかったのか…今季初の同一カード3連敗&4連敗で露呈した藤川采配の“死角”

 阪神は1日、バンテリンドームで行われた中日戦でトリックプレーのWスチールで決勝点を奪われ、2-3で惜敗、今季初の同一カード3連敗で4連敗を喫した。2-2で迎えた5回二死一、三塁から一塁走者の上林誠知(29)に偽装スチールを仕掛けられ、坂本誠志郎(31)が二塁へ送球し、挟殺プレーに手間取る間に、三塁走者の岡林勇希(23)の本盗を許した。佐藤輝明(26)が両リーグで一番乗りとなる同点の10号ソロを放ったが、12残塁の拙攻で、勝利方程式を温存した中日の中継ぎ陣を打ち崩すことができなかった。

 前日にもあった中日のフォースボーク

 「あっ」と言わされた。
 2-2で迎えた5回二死一、三塁だ。
 打席には高橋周平。今季初先発の大竹耕太郎がボールワンから投じた2球目だった。一塁走者の上林がスタートを切った。坂本が二塁へ送球。その瞬間に三塁走者の岡林が、本塁へ向かって走り出していた。上林はベースの数メートル手前でストップ。一塁へ逆走する上林を捕球した小幡が追いかけるが、タッチするよりも先に岡林が、勝ち越しのホームを駆け抜けていた。このイニングでの逆転がない限り、プロ初勝利を手にすることのできなかった中日の先発、三浦瑞樹がベンチでガッツポーズ。対照的に藤川球児監督はベンチで憮然としていた。
 阪神は6回、9回と、逆転機を作るが、齋藤綱記、清水達也、松山晋也らの勝利方程式を温存して、近藤廉、橋本侑樹、藤嶋健人、マルテを繰り出してきた中日の中継ぎリレーの前にいずれも、得点につなげることができず、結果的にこの偽装プレーのWスチールによって失った1点が決勝点となった。
 中日の井上監督は「動かないとね。うちはどちらかというと得点が少ないと揶揄される球団。1点にこだわるには、そういうところを駆使していかなければ、というのが常に頭にある」と自画自賛。
 一方で、スポーツ各紙の報道によると、藤川監督は、このシーンについて「あの作戦自体は特に、問題があったとはまったく考えていないですね」と、バッテリーも含めた守備陣に落ち度がなかったことを強調している。
 だが、現役時代にタイトルの獲得経験のある評論家の一人は、「阪神の守備陣の準備不足。前日に同じようなケースで中日はフォースボークを仕掛けてきていた。十分に想定できたはずだ」と指摘した。
 前日のゲームでも似たケースがあった。6回二死一、三塁の勝ち越し機に木下の打席で一塁走者の高橋がわざと飛び出して牽制を誘うフォースボークを仕掛けてきた。この時は、三塁走者の細川の判断が悪く、高橋を一、二塁間で挟んでいる間に、本塁を狙った細川をホームベースのかなり手前でタッチアウトにした。一、三塁でフォースボークや、偽装スチールを仕掛けてくるのは、三塁走者の動きが見えない左腕に限られる。中日のチーム戦略から見ても十分に想定できたはず。だが、打席の高橋が、前の打席で一度は塁審がホームランのジャッジを下したほどのフェンスの最上部で跳ね返るタイムリー二塁打を放っており、バッテリーは打者に集中しすぎていたのかもしれない。

 

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