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異例のトレーナー分業体制で初の世界戦に挑む力石政法(右から2人目)。左から鈴木康弘トレーナー、岡田誠一トレーナー、一番右が大橋秀行会長
異例のトレーナー分業体制で初の世界戦に挑む力石政法(右から2人目)。左から鈴木康弘トレーナー、岡田誠一トレーナー、一番右が大橋秀行会長

力石政法が異例のトレーナー分業制で5.28横浜の世界戦へ挑む…ヒントはプロ野球…「負けたら引退」を「訂正した」理由とは?

 プロボクシングのIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦(5月28日・横浜BUNTAI)に挑む同級3位の力石政法(30、大橋)が16日、大橋ジムで練習を公開した。対戦相手は同級1位のエドアルド・ヌニェス(27、メキシコ)。28戦27勝(27KO)1敗の強敵だが、インファイト用とアウトボクシング用の2人のトレーナーの分業体制で迎撃準備を整えた。「負けたら引退」の発言も撤回。メンタル面も充実させた上で日本人初の2階級同時制覇王者となったIBF世界フライ級王者である兄の矢吹正道(32、LUSH緑)との兄弟同時世界王者を目指す。

 インファイトは元日本王者でアウトボクシングは元五輪代表

 異例の光景だった。力石は、まず元日本スーパーフェザー級王者の岡田誠一トレーナーと2ラウンドのミット打ちを行うと、今度はロンドン五輪日本代表の鈴木康弘トレーナーにスイッチして、スティックミットを2ラウンド披露した。「ほんとは1億パターンあるんですよ」と、力石は、報道陣を笑わせたが、KO率96%のヌニョスとの世界戦に向けて、2人のトレーナー体制で準備を進めてきた。
 大橋会長が狙いを明かす。
「才能のある力石に。打ち合いに強い岡田、元五輪選手で離れたボクシングやテクニックを教えるのがうまい鈴木の両方が合わされば、もっと伸びるんじゃないかと。バランスが良くなった」
 現役時代に激闘型だった岡田がインファイト。アマエリートらしい出入りのボクシングが得意だった鈴木がアウトボクシングを担当。異例の分業制で力石のレベルアップを図ったのである。
 ミットを持つ時間や回数は岡田トレーナーが多いが、鈴木トレーナーは朝練などを担当していて両者の指導比重は半々くらいだという。
 大橋会長がこの異例の分業システムを思いついたのは、プロ野球である。
 横浜DeNAの三浦大輔監督、元メジャーリーガーの斎藤隆、元近鉄、巨人などで活躍した阿波野秀幸氏らとの親交があり、自身の出身校の横浜高が強豪のため、実は野球が大好きな大橋会長は、「プロ野球では走攻守と専門のコーチが分かれている。ボクシング界にもそれを応用できないのかと考えた。今回はインファイトと、アウトボクシングに分けたが、今後はジムとしてディフェンス専門コーチ、攻撃専門コーチに分けても面白い」というアイデアを実行した。
 ここまでの調整具合を「バッチグー」と表現した力石もその指導体制を歓迎している。
「1日1日の練習の質が変わった。楽しいし、練習に行きたくないなという日が1日もない」
 そして「世界戦だからというプレッシャーはない。ここまでも1試合、1試合、人生をかけてやってきたので気持ち的にはあまり変わらない。緊張もなく、落ち着いてリラックスして臨めている」とも語った。
 対戦相手のヌニェスは普通の準備では勝てない強敵である。28戦27勝27KO1敗でKO率は96%。1m68と上背はないが、一発でなぎ倒すタイプではなく、足を使ったボクシングの駆け引きも、距離をつめての打撃戦もできる。昨年2月には、IBFの挑戦者決定戦で、元IBF同級王者のシャフカッツ・ラヒモフ(タジキスタン)を11回TKOで仕留めた。ラヒモフは、力石と似た長身のサウスポー。ヌニェスは、ノーモーションの右と外から打つ左のボディフックでラヒモフを攻略している。

 

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