
「井上尚弥に勝てる根拠?3度も逃げたじゃないか」9.14名古屋での対戦契約完了のWBA暫定王者の英大物プロモーターが来日し豪語…「カルデナスよりパンチが強くネリより技術が上だ」
井上陣営は、井上が10回TKOで下したタパレスに負けているアフマダリエフの商品価値は低いと判断。まずはWBO&IBFの指名挑戦権を持つサム・グッドマン(豪州)戦を優先した。だが、昨年9月の対戦をグッドマンがキャンセル、代役に元IBF世界同級王者のTJ・ドヘニー(アイルランド)を立てた。グッドマン戦は同12月に決まっていたが、左目上の負傷でキャンセルとなり、再セットされた1月の試合も再びその古傷を開いて“ドタキャン”し代役のキム・イェジュン(韓国)と対戦した。また今回の米ラスベガスでは、当初はWBC1位のアラン・ピカソ(メキシコ)との指名試合が予定されていた。
ピカソの周辺が恐れおののき辞退したことでカルデナスに出番が巡ってきた。試合がメキシコ記念日の「シンコ・デ・マヨ」のウィークに開催されたことで、知名度のないウズベキスタンの暫定王者よりもメキシコ系米国人のカルデナスが優先されたという事情がある。一度として井上は逃げてなどおらず、他団体との指名試合を優先しようとしただけのことだが、プロモーターの宣伝キャッチフレーズとして、ハーン氏は、そう言い続けておきたいのだろう。
両陣営の因縁を考慮すると、ある意味、今回のヌニェスと力石の世界王座決定戦は、アフマダリエフと井上の“代理戦争”との見方もできる。
ヌニェスは、力石が“最強モンスター”からのアドバイスを受けることも可能な環境にいることの目に見えない“脅威”に関して、「まったく心配はしていない。井上を本当にリスペクトしている。ただ、僕はいち選手なのでそのリスペクトをもって勝ちたい」という話をしていた。
一方の力石も「自分を律してすべてをこの日のためにやってきて、ここまできた。100かゼロかの世界。世界チャンピオン以外は僕はゼロだと思っている。自分を信じて100になるようにやるだけ。相手は強いが、一番は自分との戦い。自分に勝ってこその世界チャンピオン。相手に勝つよりも自分に勝って世界チャンピオンになります」との強い決意を口にした。
アフマダリエフは、5月30日にメキシコで元世界ランカーのルイス・カスティーヨ(メキシコ)と暫定王座の防衛戦を行う。ハーン氏は「小さい試合だ。12月から試合をしていないから契約上消化する試合だ」と、あくまでもモンスター前哨戦であることを強調した。31勝(20KO)6敗の戦績を持つカスティーヨは、2023年2月に大阪で、亀田和毅(TMK)に5回TKO負けしている。しかも、1年半リングから遠ざかっていて万が一にもアフマダリエフが負ける可能性はない相手。まだ試合は4か月も先だが“最強挑戦者”との名古屋決戦が熱を帯びてきた。