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日本フェザー級王者となった松本圭佑と父でトレーナーの好二氏(写真・山口裕朗)
日本フェザー級王者となった松本圭佑と父でトレーナーの好二氏(写真・山口裕朗)

なぜ”ミライモンスター”松本圭佑は史上初の父子同階級の日本フェザー級王座を獲得できたのか…井上尚弥ら「チーム大橋」の結束

 プロボクシングの日本フェザー級王座決定戦が18日、後楽園ホールで行われ、フジテレビ系のスポーツ情報番組「ミライ☆モンスター」に小学生の頃から取り上げられてきた同級2位の松本圭佑(23、大橋)が元同級王者で1位の佐川遼(29、三迫)を3-0判定で破り、プロ8戦目で新王者に輝いた。松本の父で大橋ジムのチーフトレーナーの好二氏(53)が、現役時代に3度獲得したベルトで、父子2代での日本王者獲得は、歴代4組目だが、同階級での獲得は史上初の快挙となった。次戦は指名試合となり、有力候補の同4位リドワン“スコーピオン”オイコラ(25、平仲BS)が会場に現れて対戦をアピールしてきた。

 ピンチを乗り越えてワンサイド

 

 リングサイドから頼もしい声が聞こえた。
「その距離。左ジャブで止めろ」
 バンタム級の元4団体統一王者、井上尚弥の助言だ。
 松本は序盤戦を圧倒的なスピードでコントロール。正確に伸びる左ジャブを軸に、右ストレート、そして、ワンツー、スリー、フォーまでまとめる練り込んだコンビネーションで佐川をぐらつかせもした。だが、4、5ラウンドから、元王者にプレスをかけられ、執拗な左右のボディアッパーで反撃を開始された。ロープを背負い防戦一方となるシーンも。
 減量の厳しい松本は、リカバリーで当日の体重が8キロも増えた。それでもスピードを維持しているのは驚きだが、WBAスーパー&WBC世界ライトフライ級王者である寺地拳四朗(BMB)の参謀でもある加藤トレーナーらの三迫陣営は、減量苦と5ラウンド以上の経験がないキャリアの差をつき、「前半は我慢、中盤以降にボディからプレスをかけてつかまえる」という作戦を練っていた。
 5ラウンドが終わり、コーナーに帰った際、松本は肩で息をして唇は青色に変色していたという。
「一発効いたボディがあった。心も折れかけていた」
 5ラウンド終了時点での公開採点は三者が共に49―46で松本を支持していたが、松本は最大の危機を迎えていた。 
 前に出る佐川の執拗なボディ攻撃が続く。しかも上にアッパーなどを見せてから左右のボディアッパーをえぐるように打ってくるので止められず、松本が、下がる展開に。そんな松本を奮い立たせる声があった。
 リングサイドの最前列を占めた大橋会長、井上尚弥、拓真、浩樹、真吾トレーナー、そして佐久間トレーナーら、大橋ジムのオールスター陣容が、リング上に届く大きな声で次々と的確なアドバイスを送ったのだ。
「腹を打たすな」(井上真吾トレーナー)」
「先に左で突き放せ。動きについてこれないんだから、テクニックで」(佐久間トレーナー)
 “ボデイ封じ“はステップワークしかなかった。
 松本は、その頼もしい「チーム大橋」のアドバイスを力に変える。
「父親や会長、尚弥さんたちがハッパをかけてくださり持ち直すことができた」
 気力を振り絞って動く。
 ジャブ、ワンツーは最後まで綺麗にヒットしていた。打って動く、動いて打つ。クリンチもうまく絡めながら、確実にポイントを稼ぎ、佐川を空回りさせていく。凄まじいメンタルだ。
 最終ラウンドを前に父は、「合宿を思い出せ!」と言い、「チャンピオンになるなら、最後までメリハリをつけるんだぞ」と、両手で頬を張って気合を入れた。

 

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