• HOME
  • 記事
  • 格闘技
  • “なりすまし記者”井上尚弥が乱入して聞き出した「武居由樹vs那須川天心」のビッグマッチの実現可能性とは?
一夜明け会見のWBO世界バンタム級王者の武居由樹と大橋秀行会長(写真・山口裕朗)
一夜明け会見のWBO世界バンタム級王者の武居由樹と大橋秀行会長(写真・山口裕朗)

“なりすまし記者”井上尚弥が乱入して聞き出した「武居由樹vs那須川天心」のビッグマッチの実現可能性とは?

 プロボクシングのWBO世界バンタム級王者の武居由樹(28、大橋)が29日、横浜の大橋ジムで一夜明け会見を行った。武居は28日に同級7位のユッタポン・トンデイ(31、タイ)から1回に3度のダウンを奪い、127秒TKO勝ちでV2に成功していた。会見にはたまたま練習時間が重なったスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(32、大橋)が乱入して指名試合の次に戦いたい相手を質問。武居は6月8日に有明コロシアムで世界前哨戦を控える那須川天心(26、帝拳)の名前をあげた。武居は9月14日に名古屋でWBO同級1位クリスチャン・メディナ・ヒメネス(25、メキシコ)と指名試合で対戦する予定だ。

 「すみません。そこまで考えていなかったです」

 記者団のうしろから“モンスター”がひょっこりと顔を出した。
「次は誰と戦いたいですか?」
 衝撃の127秒TKOでV2に成功した武居の一夜明け会見がそろそろ終わりに差しかかろうとしている時だった。5月4日に米ラスベガスでのラモン・カルデナス(米国)との防衛戦を終えた井上はすでに9月14日に名古屋「IGアリーナ」で予定されているWBA世界同級暫定王者、ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との王座統一戦に向けて始動していて、たまたま練習時間と会見が重なった。バンテージを巻きながら何かをたくらんでいたモンスターが機を見て、武居への祝福を兼ねて乱入したのである。
 驚いた武居は「て、て、天心選手です」と即答した。
「それであっていますか?」
 武居が井上にそう聞くと「ちょっと違います」と返ってきて「え?」と絶句した。
 大橋秀行会長が「(井上が求めている)答えは誰?」と突っ込むと、逆に4団体統一王者は、困った笑みを浮かべ「すみません。そこまで考えていなかったです」と答えて記者団の爆笑を誘った。
 なりすましの“モンスター記者”が去った後、「今の答えは本心ですか」の質問が武居に投げかけられた。
「まあ、誰でもいいです…押忍」
 武居ははぐらかし大橋会長に「面倒くさいときは必ず押忍だな」と突っ込まれて。また「押忍」と返した。
 井上が乱入する前にこの話題が会見のひとつの焦点となっていた。
 武居は、前夜の横浜BUNTAIのリング上で「もう1本ベルトが欲しい」と宣言した。次戦は、メディナとの指名試合が決まっている。もう1本は、その次の話。武居は、なぜ統一戦を求めるようになったかを説明した。
「6月に統一戦もある。それ(ニュース)を見たり聞いたりして刺激になった。堤選手がXで自分の名前を出してくれたりもして、もう1本欲しいなと」
 現在バンタム級の世界王者は日本人が独占している。6月8日に有明コロシアムでWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(M.T)とIBF世界同級王者の西田凌佑(六島)が統一戦を行い、目の手術でWBAの休養王者となった堤聖也(角海老宝石)は武居に統一戦を呼び掛け、前日の世界戦ではリングサイドから見守り「僕も武居選手も、やんないといけない試合があるから(互いに)それを怪我もせずにちゃんとクリアすれば、いいタイミングでできるんじゃないか。楽しい感じになってきた」と改めて対戦ラブコールを送っていた。
 動き出したバンタム級戦線が武居のモチベーションをくすぐったのである。

 

関連記事一覧